傷だらけの人生

金融や国家、政治など歯に衣着せない論説で有名な副島氏であるのだが、本書はその論説はあるにしても、自分自身ダマされた失敗談も赤裸々に綴っている。銀行員時代から評論家になるまでの活動として、様々なところでダマされたという。そのダマされた経緯と対策について取り上げているのが本書である。

第1章「オンナにダマされた」
そもそも本書のタイトルは1971年に公開された同名の任侠映画から来ている。鶴田浩二主演で話題となったほどである。しかもその主演の鶴田浩二が同名の楽曲を1970年にリリースされた。
話を戻す。ダマされることによって傷つく。その傷は教訓として後の自分の人生に役立つ。そのことを見出したので本書のタイトルにしたのかもしれない。
本書の話に戻るのだが、著者自身女性との付き合いもあった。その中には「魔性の女」と呼ばれる女性もおり、ダマされた経験を持ったという。

第2章「お金でダマされた」
お金関係のことで「ダマされた」経験は著者自身数知れずである。中でも銀行員時代もさることながら、ごく最近被害に遭った出来事まで赤裸々に綴っている。

第3章「人間関係でダマされた」
おそらくもっとも「ダマされる」と言うべきは「人間関係」、近しい人間であればあるほど用心した方が良いと言える。私自身もダマされた経験はいくつかあり、ほぼ全財産を失った経験もあった。とはいえ、疑心暗鬼になってしまっては人間関係が崩れ、なおかつ心的なダメージを負ってしまうこともあり得る。また周囲のことに過敏になりすぎてしまうことも身を滅ぼす原因にもなるため、ある程度の「鈍感力」を持つことも大切であることを説いている。

第4章「大きな組織・団体にダマされた」
ここでは実体験というよりも国家論と言ったところにあたる、国家そのものはどういった存在なのか、組織はどういった存在なのか、そしてどのように人を「ダマす」のかを取り上げている。

ダマされないことに越したことはない。もちろんダマされるにも色々な側面があるのだが、何と言ってもダマされることは多かれ少なかれ損をすることとなる。その損をしない、身を滅ぼさないためにどうしたら良いのか、教師、あるいは反面教師となるのが本書と言える。