日本神話としての物語はいくつもあるのだが、その中でも最も有名なものとして「古事記」がある。神話を取り上げているのだが、それと同時に「日本最古の歴史書」として挙げられることが多く、奈良時代になったばかりの712年につくられたと推定される。
その「古事記」における話について子どもたちへ親しめるため、絵本に仕立てた一冊であり、元々は1940年に出版された「カミサマノオハナシ」を現在にあわせて復刻した一冊でもある。
一.「高天原(たかまがはら)のまき」
高天原の話は世界の誕生から、神の誕生、日本誕生などが描かれており、有名な「天浮橋(あめのうきはし)」や「天岩戸(あまのいわと)」などがある。また日本神話における主神である「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」も本章にて中心的に取り上げられている。
二.「出雲(いずも)のまき」
高天原のはなしのなかで出てきた天岩戸の物語に出てくる神のなかで須佐之男命(すさのおのみこと)がおり、次々と粗暴を行ったことにより天照大御神が恐れて天岩戸に隠れた。そのことにより高天原を追放され出雲へと渡ることとなった。出雲の話はそこから始まり、須佐之男命が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した話も盛り込まれている。
三.「高千穂(たかちほ)のまき」
「高千穂」の部分では主に「天孫降臨(てんそんこうりん)」が中心である。天照大御神の神勅(しんちょく・神の命令のこと)を受けて邇邇芸命(ににぎのみこと)が高千穂峰へと天降(あまくだ)りをしたことにある。またここでは海幸彦(うみさちひこ)、山幸彦(やまさちひこ)、そして木花開耶姫(このはなさくやひめ・「木花之佐久夜毘売」とも書く)も出ている。
四.「大和(やまと)のまき」
ここでは日本で初めての天皇「神武天皇」が誕生した話である。ここでは神武東征(じんむとうせい)から始まり、熊野古道として有名な熊野から大和への遠征、東征を果たして天皇として即位するまでを表している。
話は変わるが元々古事記は神武天皇以降にも話があり、初の女性天皇となった推古天皇まであるのだが、あくまで神話や日本という国の誕生が中心であるため、神武天皇誕生までで終わっている。
私自身も古事記は何度か読んだことがあるのだが、日本における根幹を知ることができたのと同時に難しく思えることも多々あった。本書はその古事記を子どもでも分かりやすく知ることができるようにしたためた一冊である。
また冒頭にも述べたように、元々は1940年につくられた「カミサマノオハナシ」を長年皇室を取材されてきたジャーナリストが、上皇后美智子陛下が天皇陛下に読み聞かせた本であることを知ったことがきっかけとなり、約80年の時を経て復刊された一冊である。そこには5月に始まった「令和」の時代だからでこそ、子どもたちに「日本」を知り、語り継がれる大きな架け橋となるために復刊されたと言える。
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