決して松本清張の小説や昨年秋にアニメ化された同名のマンガのことを指しているわけではない。本書で紹介するのは本当の意味での「けもの道(獣道)」であり、動物が通る道のことを指し、猟師はその道を行き交いながら狩猟を行うことを生業としている。その現役猟師がけもの道へ赴き、狩猟を重ねながら動物たちとの関わりをどうしていくかについて論じている。
1.「猟師の眼に映る山と動物たち」
もっとも狩猟自体は食用として乱獲するのではなく、むしろ自然の面で害をもたらす動物を狩猟するというものである。狩猟の方法は様々であり、よくあるのが猟銃で殺すという方法であるのだが、著者は「わな猟」と呼ばれるもので、わなをつくり、対象の動物を罠にはめた後に猟銃で始末すると言うものである。
2.「身近な動物たちとの行き交い」
けもの道であるだけに様々な動物との行き交いもある。その行き交いのなかでは凄惨な生存競争の跡に遭遇することもあったという。もっとも狩猟を行うにしても獣害と呼ばれる人や作物等による被害が深刻化したときに行われるのだが、その狩猟に対して猟師に限らず周囲の人物との理解が求められることがある。その理解を巡っての対立もある。
3.「狩猟採集生活の今とこれから」
猟師の人口はそれ程多くない。むしろ苦しい状況に立たされていると言った方が良いのかもしれない。また猟師としての生活や仕事そのものも変わってきていている。その今とこれからについて取り上げている。
獣害は私たちの生活のなかでは切っても切れないものであり、それを防ぐためには猟師の活躍も不可欠であるが、今後はどうなって言うのかは定かではない。とはいえ猟師がどのような狩猟を行い、どのような生活を行っているのか、それは知っておく必要がある。その知るための資料として本書があると言っても良い。
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