5G 次世代移動通信規格の可能性

今年の3月25日にドコモで、26日にauで、27日にソフトバンクで5Gのサービスがスタートとなった。それと同時に日本のスマホでも5G対応のものがちらほら出始めた。海外でも2019年の4月にアメリカや韓国などでサービス開始が発表され、約1年遅れてのスタートとなった。現時点で5Gの恩恵は限定的であるため、これからどのように広がりを見せていくかが気になるところである。

この5Gは新たな無線通信システムであり、多数の同時接続、なおかつ高速で大容量のデータ通信が可能であるという。本書はその5Gの本質と潜在能力など、5Gにおける現状とこれから、さらには競争に至るまでのもの全てを明かしている。

第1章「5Gの本質」
かねてから存在している1G~4G、LTEとは違い5Gはスマートフォン特有のものではない。工事の機械はもちろんのこと、車の運転や物流などのインフラ、さらにはスーパーでの小売りや手術などの医療の面など、機械にまつわる所ほぼ全てにて活躍する事が期待されており、現時点で試験的な実験も行われている。
また5Gは通信規格の一つであるのだが、特に5Gならではの特徴として周波数の多さがある。この「周波数」が通信に大きく関わっており、通信が高速になる要因ともなる。

第2章「5Gの潜在力と未来の姿」
第1章でも書いたのだが、5Gの可能性はスマートフォンだけでは収まらない。ありとあらゆる業界にて5Gを導入すると、特に人力で行わなければならないところを通信や機器だけで行えるようになるという。しかもその範囲が通信とは縁遠い世界あってもである。本章でできる潜在力がフルに活用されるとするならば、よくSF小説や近未来の作品などで描かれていたことがほぼ叶えられると言っても過言ではない。

第3章「モバイル興亡史をふり返る―通信規格の世代交代」
元々モバイルにおける通信規格にも歴史があり、5G以前にも1G~4Gまである。特に1Gは1980~90年代にあり、2Gは1990~2000年代、3Gは2000~2010年代、4Gが2015年頃から現在に至るまで使われている。特に3Gは長くあり、厳密に言うと3.5世代(3Gハイスピード)や3.9世代(Xi(クロッシィ))など、細かく世代分けされていたこともあり、ながらく3Gの時代が続いたことにある。ちなみによくあるLTEは3Gと4Gの間にあるものであり、通信規格上の4Gは「LTE-Advanced」や「WiMAX2+」が該当する。もっと昔になるときりが無い。ただ、昔はポケットベル(ポケベル)からPHSなどが出てきて、なおかつ携帯電話もガラケーが当たり前のようにあり、ドコモでの「iモード」も出てきたことから、興亡史と語るだけでも、自らの実感でも「時代」を感じずにはいられない。

第4章「激化するデジタル覇権争いのゆくえ」
今回デジタル覇権争いの中で日本はわざと世界初にこだわらなかったという。その理由としては3G導入の時のことであるが、専門的な話になってくるため割愛する。しかし良くある光景としては3G時代に携帯電話が爆発的に普及し、今もなお「ガラケー」と呼ばれて残っている所を見るとなぜ「ガラパゴス」となっているかの理由が良く分かる。
デジタルにおける競争というとアメリカ・中国などがイメージされるのだが、特に通信部品などニッチな分野においては日本も負けていない。

第5章「5Gを支えるテクノロジー」
本章では5Gによってもたらされる技術や周波数などのメカニズムについて取り上げている。どちらかというと専門的なところになってくるが、実際に何に使われているかも含めてわかりやすく取り上げられているため、すんなり頭に入る。

これから5Gの時代が来るが、どのようなものなのか、そしてこれからどうなっていくかその青地図は様々ある。実用化され始めているなかで、どのようにして変化が起こるのか、私自身も新技術については興味があるため、これからが楽しみである。

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