メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間

フリマアプリ「メルカリ」が生まれたのは2013年の7月の時である。そこから瞬く間に広がりを見せて、今となっては日本・アメリカなどで使われている。しかしながら、今年の新型コロナウイルスにまつわるマスクなどの転売を始め、配布されているものやチケットなどの転売も相次いでいる事からネガティブな印象が強く持たれている。

しかしメルカリの歴史は決して順風満帆なものではなかった。起業前から後、そして急成長を遂げるまでの道のりについて綴っているのが本書である。

1.「誤算」

現在の株式会社メルカリの創業者であり、CEOの山田進太郎氏の大学生から起業家になるまでの所を取り上げている。実は大学生にて楽天へインターンを行っていたことがあり、その時にかつてあった「楽天オークション」の立ち上げにもさんかくしていた。元々山田氏は大学卒業後、NPOで手伝っていたのだが、仕事の幅が大きくなるにつれて、税金の関係で起業を迫られ、会社を興したという。その後インターネットサービスからソーシャルゲームまで手がけたが、アメリカの会社に株式等を売却し、自身も退職した。その経緯について取り上げている。

2.「再起動」

退社してから、メルカリの前身である「株式会社コウゾウ」を設立するまでの間に何を行っていたかを取り上げている。実は山田氏は世界一周を行っており、その体験の中で新しい縁や創作意欲を生み出した。

3.「唯一無二」

2013年に株式会社コウゾウを設立した。その時に作るものとしては新しいフリマアプリ、そう「メルカリ」の開発だった。しかし全く新しいからでこその「壁」にあたることもあった。

4.「急げ!」

その「壁」の一つにエンジニアの離脱などにより、当初の計画がご破算になろうとしていた。何とか2013年7月に完成し、リリースされた。しかしながら実際にはリリースを間に合わせるために割り切った所がいくつかあり、本章ではそれも余すところなく明かしている。

5.「焦る理由」

実はメルカリを早くだそうとしたにも理由があり、山田氏も焦りがあった。その焦りとは、同業他社が自社よりも早くフリマアプリを出してこないかという焦りだった。

6.「逆転」

リリースされ始めてからのダウンロードはそれ程されておらず、話題にもならなかったほどであった。山田氏は自信に満ちていたのだが、目で覆いたくなるような現実が襲っていた。しかしデザインの変更などにより、ダウンロードも伸ばせるようになったが、今度はサーバーダウンと「一難去ってまた一難」の状態が続いた。しかしある大物が新たに入社し、さらにテレビCMに進出するようになった。そこからメルカリの快進撃は始まった。

7.「求心力」

前章で取り上げた大物は、元ミクシィのCFOだった小泉文明(現:メルカリ取締役会長)である。その小泉氏のミクシィ時代のエピソードとともに、メルカリにおけるミッションなどの方針の策定、さらには社員をとどまらせる求心力の重要性を説いている。

8.「アメリカ」

まだメルカリが成長へのきっかけを作り出そうとしたときに、山田氏らはアメリカに出張することになった。メルカリのアメリカ進出だった。現地に赴きアメリカ版のメルカリを立ち上げる事となった。

9.「青いメルカリ」

アメリカ版のメルカリは急速に成長したのだが、その成長の裏にはある「出来事」があった。2016年7月に突如、「招待爆発」が起こり、ダウンロード数は急増したが、実際の売上に結びつかないといった「混乱」が起こった。なぜ「混乱」と表記するのかというと、インターネットのダウンロードゲームやツールの市場ではダウンロード数だけで無く、そこから1人1人の売上を結びつけていくことで利益が生じる。しかしただダウンロード数だけ挙げてしまい、売上が落ちてしまうと、長期的に悪化してしまうといった弊害を生じるためである。その打開策を講じたのだが、その一部始終を追っている。

10.「成長痛」

人間の身体は子どもから大人になるにつれ成長をする。しかしその成長の中には節々の痛みを生じるものがあり、それが「成長痛」と呼ばれているのだが、実は会社でも「成長痛」と呼ばれるものがあるという。その「成長痛」の中身はメルカリにおけるトラブルの中にある「現金出品」や「盗品出品」が明るみに出たことが挙げられる。他にも会社が巨大化になったことで生まれる「大企業病」も出てきた。それらのことを踏まえ山田氏は全社員を通じて反省のメッセージを伝え、なおかつ内外に再発防止の策を講じるようになった。

11.「テックカンパニー」

メルカリは成長を止めなかった。その成長を支えていくために「テックカンパニー」という側面を目指したという。

12.「プラットフォーム」

メルカリが急速に発展した事による歪みの解消と同時に、行ったことはテックカンパニーの他に「メルカリ」としてのプラットフォームづくりだった。その一つとしてメルペイがあったのだが、その立ち上げのエピソードを取り上げている。

今となってメルカリはフリマアプリとしては国内最大手であり、なおかつ日本のみならずアメリカ、イギリスなどの海外でも使われてきている。しかし大手になって行くにつれて、トラブルも頻発しており、今日の高額転売もまたその一つである。メルカリは成長と共に、トラブルをいかにして解消していくのか、その岐路に立たされていると言っても過言ではない。

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