眠りの神

本書のタイトルは「眠り」と言っても「永眠」の方で、いわゆる「死」を幇助するといった事件を描いたミステリー作品である。当ブログでも何度か「尊厳死」や「安楽死」といったものを取り上げてきたのだが、本書はそれを小説の舞台にしている。

あくまで創作なのだが、「尊厳死」とは何か、「死ぬ権利」とは何か、そのことを考えさせられ、なおかつ海外では安楽死や尊厳死が認められている事例を引き合いに出しながら描かれている。先日「医療倫理」についての本を取り上げた際にはほんの少しだけ言及したのだが、医療の現場でも「医療」と「倫理」とでせめぎ合いがあるのだが、それをものの見事にミステリーに当てはめたところに好感が持てる。

尊厳死とは何かわからないと言う方々であれば、本書から手に取って、その後に尊厳死・安楽死にまつわる議論の本を読んでいくのも良い。そうすることによって今ある議論がどうなっているのかがよくわかる。

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