私は子育てを行ったことがないため、あまり難しさはわからない。そのため本書は子育ての中での苦悩を取り上げているが、もしも自分が結婚して子どもができたときの教科書の一つとして見ておきたい。
本書はどのような一冊かというと、子育てに限らず、人と接する際に、自分自身が「正しい」と思ったことを相手に「良かれ」と押し付けてしまうようなことがあるか、そしてそれを押し付けてしまったことによって親子の関係が分断してしまう要因にもなる。そうならないためにどう向き合ったら良いかについて取り上げた一冊である。
1.「親子の出会いと向きあい方」
親子という最も近しい立場であるものの、近しいと言うだけであって、同じというわけではない。立場そのものが違うだけに、受け取り方は異なる。立場が違うからでこそ、どのように接したら良いか難しい部分がある。また子どもがハンディ(障害)を抱えるとなると、その向き合うことへの難しさの度合いも変わってくる。
2.「「お母さん」はどうふるまうか」
もちろん親も子どもに対して接すると言ったことは大事であるのだが、接し方の度合いによっては接した方が良い、逆に良くないといったケースもある。どのように振る舞うべきなのかを対談を通じて紐解いている。
3.「「大人のまなざし」でこどもを分断しないために」
大人によって子どもの成長は大きく変わる。大人がどのように接するかといった難しさもあるのだが、専門家に頼るばかりではなく、親として子どもに何を求められているのかを考える、あるいは注視するといったことも必要である。
4.「こどもの学校や進路を選ぶとき」
学校選びは親の仕事の一つのあるように見えて、時期が来たら完全に子どもの仕事となる。子どもの仕事となるのは中学生や高校生、あるいは大学生になるといった時のことである。もちろん例外があり、1.でも言及した「ハンディ」がある時の場合は親もまた考える必要がある。
5.「親や周囲が「よかれ」と思うことをする前に」
「良かれ」と思ってやってしまったことが、相手にとっては害をなすようなことが往々にしてある。私自身もやっていることについて「良かれと思っていないか?」という疑問を持ちながら常日頃から行動や言動に気をつけている。その「よかれ」の行動・言動は子どもからして見ると敏感に反応し、後の人生にも影響を与えてしまう。特にそれが無自覚に行っているとするならば要注意である。
子育ては難しい。難しさの度合いは家庭環境から、子どもや大人の心境に至るまで細々と変わってくる。変わってくる中で何が大切なのか、必要なのかと言うのもある。それを受け取りながら、考え、行動や発言をすることが求められる。子どもの未来に関わってくるため細心の注意を払いたいものである。
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