いつかの岸辺に跳ねていく

幼なじみの2人がそれぞれの道を歩んでいった。その道は交わるかどうかはわからなかったが時が経つにつれ、2人それぞれの物語が1つへと変わっていくようになった。しかし1つになった時、幼なじみの女性は既に病床にあった。

幼なじみと言うことなので、気心は知れていた。しかし知れていたからでこそわからないこともある。時には壁にぶつかってしまい、現状に呪うことさえもある。そんなときに「あきらめない」心と思いがあったからでこそ乗り越えられた。

最後の戦いも佳境を迎えた時に「再会」。その再会は暖かく、そして女性の心を満たしていった。その幸せな姿を残して、最期を迎えた。

意外な展開を「どんでん返し」と定義しており、本書でもいくつかそのような場面が見受けられた。ところが、突拍子もないものではなく、むしろ温かみのある展開の中で生まれたものであるため、意外な側面もあるのだが、それ以上に幸せな気分になってしまう。「人」との関わりで映し出される「愛」と「温かみ」。この2つが本書を支配していた。