ぼくをころさないで

本書はとある離島のペンションが舞台である。そのペンション、もとい離島には奇怪な存在がいる。それが人を喰らう「野良犬」がいるのだという。犬の中には獰猛で人を「噛む」と言った種類もいるのかもしれないのだが、「喰らう」犬は見たことも聞いたこともない。もちろん小説の世界であるため、フィクションではあるのだが。

その離島にて連続殺人事件が起こる。当初は人喰いの野良犬の仕業だろうと言われたのだが、その「人」と「犬」に関して、ユニークな謎解きで、事件の真相、そして犯人を解き明かしていく。

タイトルにしても、舞台にしてもけっこうおぞましい雰囲気を持っているのだが、舞台がペンションであり、なおかつ動物たちも人なつっこい描写もあることから、単なる言い伝えじゃないかと思ってしまうようなタッチが魅力的だった。