大都市はどうやってできるのか

ここ最近コロナ禍により、首都圏を離脱して、地方に本社を移転するという動きが見え、なおかつ人口の流れも同じような動きを見せている。ただ年代や場所によっては転入が多く、人口も増加している所もあるため一概には言えない。

そもそも企業や人が続々と入り、一つの「都市」として栄えてきたが、それがなぜ「大都市」となって発展していったのか、本書は「都市経済学」を観点に紐解いている。

第1章「なぜ都市ができるのか」

「都市」は意図的に作られる部分もあるが、実際には古代から、人が集まり、一つのコミュニティができあがる。そこから技術や文化の進化が起こり、「都市」として醸成していくという。

第2章「「多様性」と「輸送費用」の役割」

「都市」と呼ばれる所は当然ながら人・物・金の出入りが盛んに行われる。そのため「多様性」がどうしても入り、物・金が動くからでこその「輸送費用」もあるのだが、そもそも輸送技術とともに、その費用がどうなっているのか。また「多様性」についても人そのものばかりでなく、購買意向や価値観なども入ってくる。

第3章「集積と経済成長」

「経済成長」はどこの地域にも影響するのだが、特に経済的に動きの多い都市部はなおさらである。ではどのように経済成長が起こるのか、「都市」としての動きと共に取り上げている。

第4章「少子化と都市」

日本では昨今「少子高齢化」が続いている。その原因について出生率の変化との相関関係を分析している。

第5章「情報通信技術の発達がもたらすもの」

昨今ではインターネットなども進化しており、パソコン・スマホなどの通信技術も生まれ、同様に進化していった。また冒頭にも述べた通り、本社機能が首都圏から地方に移る企業も出てきているが、その要因もまた情報通信技術の充実が挙げられる。

第6章「東京は本当に大きすぎるのか」

最後に東京であるが、そもそも東京都の人口は約1396万人と、日本の人口の約12%を占めるほどである。その東京は「一極集中」と呼ばれるほど大きくなり過ぎているという指摘があるのだが、果たしてそうなのかという検証を行っている。

経済的にも「都市」は流動の激しい場所である。そのため都市における人口や経済変動がその国、地域にどのような影響を及ぼしているのかがよくわかる。「大都市」が生まれる仕組みが「都市経済学」という学問によってもたらされることを本書でもって初めて知った。