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ミステリー

ぬるくゆるやかに流れる黒い川

本書の表紙を見るにあたり、タイトル・装丁を見てもおどろおどろしさ満載であり、なおかつミステリーと言えるような作品のイメージがした。実際に本書の内容はその表紙のおどろおどろしさを裏切ることはなかった。 しかも本書のタイトルにも物語の核心に近いようなものがあり、なおかつ登場人物たちの感情があたかも「黒い川」と言う言葉に相応しいほどだった。ある2つの家族を殺した犯人が拘置所で自殺を遂げたのだが、その裏に […]

無実の君が裁かれる理由

「冤罪」と言うと様々であるのだが、数年、ケースによっては数十年経つ事例もあり、冤罪が認められることなく、失意のまま逝去したケースも少なくない。 冤罪はなぜ生まれるのか、その原理には証拠や記憶、自白などハッキリとしていないものでも証拠として上がってくる。それが事件の真相と扱われてしまい、やっていないにもかかわらず、犯人にされ、裁判では有罪にされるという。本書はミステリーであるのだが、まさに「冤罪」が […]

ウェンディのあやまち

3人の女たちの物語が同時進行で進んでいき、ある事件をきっかけに3つの同時進行の線が1本に交わると言う物語である。その3人の境遇は全くと言ってもいいほど異なっており、その異なっているなかには、とある「関係」が築かれているという。 その事件の真相とはいったい何か、そして境遇の全く異なる3人の接点とはいったい何なのかと言うのを取り上げているが、その真実が迫っていくなかで、女性の生きざまを観ているようでい […]

神のダイスを見上げて

もしも人類滅亡まで残りの時間がわずかになってしまったらどうするか。あり得ないことなのかもしれないのだが、生きていると文字通り「何が起こるのか分からない」、そのような状況になることさえもあり得る。終末と呼ばれるなかで何をするのかというのもけっこうお決まりの物語としてある。 しかし本書はそうではない。滅亡までのカウントダウンが進むなかで主人公の姉が殺されたのだが、その犯人を探すというミステリー作品であ […]

パレードの明暗―座間味くんの推理

警視庁の架空の機動隊に配属し、保安検査場に勤務している女性は仕事に不満を感じたのだが、警察官としての仕事に誇りを持っていた一方で、仕事や上司について自分の理想をあまりにもかけ離れたことにいらだちを覚えた。 その上司からあるとき、とある飲みに誘われることとなった。その飲みは警視長と呼ばれる警察のなかでもトップに分類する人の飲み会である。ある種の「接待」というイメージを持たれるのだが、そのトップとの飲 […]

偽りのラストパス

バスケ部の主人公の家に不良が居候し始めたときから物語が始まる。青春を謳歌している主人公と、狼藉を行う不良。その2人の関係にも変化が訪れ、不良が遺体で発見されたという、最悪の展開に発展してしまう。 その最悪な展開となったきっかけはいったいどこにあるのか、本書ではその謎を追っている。ミステリー作品に分類しており、なぜ殺されたのか、そしてその殺しまでのトリックとはどこにあるのか、そしてその動機は何なのか […]

完全犯罪の死角 刑事花房京子

犯罪には「完全犯罪」なるものが存在すると言う。しかしながらその完全犯罪にも「穴」が存在しており、その穴を突くために探偵や刑事がトリックを探し出すというようなものがよくあるミステリー作品の王道とも言える。 本書はとある女性刑事が殺人事件のトリックについて謎を解き明かしている一冊である。動機はあらかじめ分かってはいるものの、その事件は「痴情のもつれ」で片付くようなトリックのように見えるのだが、実はそこ […]

バビロンの階段

大学もバイトも辞めてニートになり、人間関係も全てリセットとなってしまったある男が、偶然親友と出会った。しかしその親友は出会った後に貨物列車に引かれて帰らぬ人となった。一見事故のように見えて、実は殺人事件だったのだが、その犯人と謎はいったい何なのか、周囲の人々と遭遇し、利用していくことによって、事件のキーワードとなる「バビロン」に出会う。 果たして「バビロン」とはどのようなもので、死んだ親友は「バビ […]

ライオン・ブルー

青色というと日本における警察官の服がそれを象徴づけている。青色の濃淡はあれど、ほとんどの部分が青色で支配していると言っても過言ではない。 本書の話に戻す。本書は関西のとある地方都市にて働く警官の話になるのだが、その警官の同僚の失踪から物語が始まる。その失踪の謎を追っていく中で、今度はとある家が放火され、その家主が殺されるといった事件に巻き込まれる。接点がないように見えて、実は接点がある2つの事件。 […]

生き残り

本書のタイトルを見ると様々な側面を思い浮かべる、戦争などのまさに生きるか死ぬかの「生き残り」をかけた戦いもあれば、社会的な競争において勝ち負けといった「生き残り」もある。本書はその中でも前者の意味を持っている。 本書の舞台はおそらく大東亜戦争にあたるのかもしれないが、その中でも北ビルマ(現在のミャンマー北部)において米中の連合軍との戦いで苦戦を強いられている中で生き残るために戦う姿を描いている。主 […]