パレードの明暗―座間味くんの推理

警視庁の架空の機動隊に配属し、保安検査場に勤務している女性は仕事に不満を感じたのだが、警察官としての仕事に誇りを持っていた一方で、仕事や上司について自分の理想をあまりにもかけ離れたことにいらだちを覚えた。

その上司からあるとき、とある飲みに誘われることとなった。その飲みは警視長と呼ばれる警察のなかでもトップに分類する人の飲み会である。ある種の「接待」というイメージを持たれるのだが、そのトップとの飲みのなかでとある民間人と出会う、それは名探偵でありつつ、警視長の友人という奇妙な関係とも言える。しかしながらその中で出てきたのがとあるハイジャック事件での推理。その推理の謎解きこそが彼女を警察官としてのステップアップのきっかけになろうとは。

推理を楽しめるミステリーでありながら、主人公の女性の成長ストーリーの両輪を愉しむことができる一冊であった。