さんばん侍 利と仁

昨今では新型コロナウイルスにより企業の倒産や破綻、あるいはそれの危機に瀕する状況に陥るケースが頻発している。特にその危機から脱するために「再建」を行うことも少なくない。

所変わって本書はその「企業再建」を江戸時代において行ったという移植の一冊である。元々は町人で、親族も亡くなり、孤独の身になったが、藩の江戸屋敷に拾われ、養子となり、勘定方で働くようになったが、そこから幕府との「戦い」が起こり、巻き込まれるというものである。

しかも「戦い」と言うと刀で交えるイメージを持たれるのだが、藩にある問屋の番頭になり、店や藩の再建を行いつつ、今で言う所のビジネスでもって幕府と戦うという構図であるため、時代小説の中でも「異色」の部分が強い。もっとも本書の著者自身がIT企業の役員として経営を行っている部分もあるため、自身の体験を江戸時代の背景・事情にデフォルメしていっている様相を見せている一冊であった。

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