お助け同心 尾形佐門次

江戸時代を描いた小説において、「同心」という名前を目にする。「同心」は江戸時代における役人の一つにあり、庶務や警備などを行う、あるいは軽犯罪を取り締まる警察の役割を担っていた。

同心は各藩におかれていたのだが、同心のあり方も多様であり、伊賀や甲賀では忍者を祖先とした同心がいる。また同心で有名な所では本書でも紹介される八丁堀の同心である。江戸時代初期に寺の多くが八丁堀から浅草に移動となり、その跡地に町奉行配下の与力や同心の組が多く設置された。時代劇における「同心」が主に八丁堀を舞台としてあげられるのもそれが所以である。

同心の話が長くなってしまったが、本書はその中でも「お助け」は今まで読んできた同心の中でも特に「人情派」というべきものであり、様々な人からの相談に乗り、お助けすることが多かった。その同心の周りにて直面する事件が起こり、同心は解決に乗り出すという一冊である。