贄の花嫁 優しい契約結婚

明治維新において海外の文化が多数取り入れられ、独自の和洋折衷の文化を創り上げた。特に大正時代において文化・芸術を含めその風潮が強く、現在でも語り継がれる「大正ロマン(大正浪漫)」がある。もっともこの時代を背景にした作品は小説・マンガ・アニメ問わず数多くある。

本書も例外なく大正ロマンの時代を舞台にしている。この時代は政略結婚をはじめ、恋愛といったものではなく、むしろお見合いや、許嫁といった要素が強く残っている。今回の舞台は言及こそはないものの、お見合いか政略結婚の印象がある。しかしその結婚した先の生活はすれ違いこそはあれど円満な夫婦生活だった。しかし結婚した夫にはある重大な秘密を持っており、秘密を知った妻は力になりたいと悩むといった一冊である。

本書はどちらかというと「恋愛」といったものに重きを置いている。大正ロマンと恋愛となると、ある種純粋なイメージがあるのだが、ご多分に漏れなかった部分もあり、なおかつ物語もシンプルだったため、小説初心者であれば読みやすい一冊と言える。