人は誰もがリーダーである

組織を生きていく上でリーダーは存在するが、自分が何の役割を担いどのような行動をしていくのかというのをリーダーにすがりつくようでは組織としては成り立たない。自分にはこういった役割があることを認識したうえで行動していく、本書の表題「人は誰もがリーダーである」というのはこういうことを言っているのではないかと私は思う。ちなみに著者は伏見工業高、同志社大、神戸製鋼のラグビー部とわたり、ラグビー日本代表としても活躍した。現在では神戸製鋼ラグビー部のゼネラルマネージャーとして勤めている。

第1章「弱さを知ってはじめて「強い個」は生まれる」
人には必ずと言ってもいいほど「弱さ」は存在する。その「弱さ」を否定する人間も「弱い」。しかし人はその「弱さ」からより「強くありたい」と意識し、本書の述べている「集中力が生まれる」ということにつながる。「弱さ」があることにより、より強くありたいという考えが生まれるものだが、悲しきかな人間はそういう風にできていないことが多く、むしろ相手の弱みを漬け込んで自分を優越するという感情が心の奥底である。そしてその弱みを恐れないと同時に「恥」と「失敗」を恐れない人こそ強くなれるという。日本人はこの2つを恐れてしまっている。当然2つを経験するリスクはピンキリはあるものの計り知れないものである。しかし得るものは大きい。この章の大きな狙いは「リスクを恐れない」こと。そのことによって「強い個」は生まれるのだから。

第2章「部下の弱さを克服させ、強さを生み出すリーダー力」
モチベーションにも2種類存在しており、本書では「内発的」と「外圧的」に分かれている。
「内発的」は自分の成功によって形成されるモチベーションであるが、一方で「外圧的」はコーチなど上司からの指摘や叱咤から来ることからくる。それにも上司はどうやって自分で気づかせるのか、そして部下を見抜くのかというのが肝心になる。さらに部下自身もやる気にさせることも必要であるが、やりようによっては部下のモチベーションを低下させる要因となってしまう。これについてはコーチングが肝心となるだろう。
そして「若者がヤワになった」と言われるが、これは「反発」が足りないと著者は指摘している。現に私たちの世代はそういった悔しさを表に出さないのか、それともどうでもいい、もしくは「なんくるないさ」というような感情が出ているのかどっちだろうか。ちなみに私の考えは前者の方が強いと思える。

第3章「人は生まれながらにしてリーダーである」
リーダーシップとは一体どのような能力であろうかと考える。自分から動く行動力もさることながら、プロジェクト全体を見据える大局観と、先を読む先見力や洞察力、コミュニケーション力(特に「聞く力」)が必要となろう。その能力をもってのリーダーの仕事は競争相手と戦うためにどうするのかというのである。

第4章「強い組織は成熟した個人の集まりから生まれる」
組織ではたくさんの「個」があるがその中でも異端と言われる人もいる。しかしそれを排除するというのが心理として働くが、あえてその異端を許すことこそが強い組織として成り立つのではないかという。

第5章「個人と組織の力を最大限に生かす戦略とは」
個人の力をリンクさせながら組織の力を最大限に生かすという。そして外との勝負を明確にし、状況を客観視できることが肝要である。

本書は技術的なリーダー論の中でも著者がラグビーの日本代表を務めていたことからの観点で書かれたリーダー論であり、技術的なことにとらわれない斬新なものであった。組織を生きていくにあたって一人一人がリーダーとして何をやっていくのかということを考える、そのことからこの表題になったのだろう。

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