会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く

勝間氏の新刊を見るとこう思えてならない。
「中谷彰宏ばりになってきたなぁ」と。
中谷彰宏と言えば当然自己啓発本など800冊以上を世に出している。年齢がもうすぐ50歳なので、著者としていつデビューしたのかはわからないが、一応85年と概算する。というのは博報堂に入社したのが84年だとしての計算なのであまりあてにならないが。85年と概算すると24年間、だいたい1年に33冊ほど出している。月に概算すると3冊。かなりの頻度である。勝間氏は今のところ1〜2カ月に1冊のペースであるがこのままいったらもしかしたら中谷氏に近いペースで出されるのではないかとさえ思ってしまう。

それはさておき、本書は人生などあらゆる面での「リスク・リテラシー」について説いた一冊である。さて企業にいることによるリスクというのを皆さんはどう考えているのだろうか。そしてそのリスクをどう生かすかというのを考えているのだろうか。私はリスクは考えているがどのように利用するという所まで手が回らなかった。さてめくるめくリスクの付き合い方を見てみよう。

プロローグ「リスク・リテラシーと終身雇用制」
第1章「会社に人生を預けるな」
これまで日本の企業・経済は「終身雇用制」と「年功序列」の恩恵により力を育んできた。しかしそれが実らなくなりはじめたのはバブル崩壊の頃から、さらに日産でのゴーン氏就任以降のリストラの嵐。もう企業はサラリーマンを守る時代ではなくなった。さらに追い打ちをかけるかのように昨年のリーマン・ショックによる世界恐慌の始まり、それによる派遣切りもさることながら、リストラや内定取り消しまで相次いでいる。ではこの時代の中で日本人の意識は変わったのかというと変わらないわけではないが、ほとんど変わっていないというのが現状であろう。未だに「年功序列」「トップダウン」という風潮がまかり通っているように思える。あと自分自身職場に行って感じたことであるが、「残業=善」という体質がいまだに残っている。今ビジネス書では「残業ゼロ」のノウハウがよにたくさん出回っている今でも、である。経営ではあれだけ「効率化」と叫ばれているのにもかかわらず、である。作業の効率化とかいうのであればまずは自分の時間を作るのではないかともう。残業や長期労働により、自分の人生をふいにしかねない。さらに若い世代や女性に厳しく、「ワークライフバランス」はあって無き様なものとなっており、さらにリストラの対象のほとんどが入社間もない若い世代となることが多く、これからなのにと割喰ってしまう。その理由は経験がないから、知識がないからという。
悪い意味での「高齢にやさしく、若者(と女性)に厳しく」というのが出来上がっている。

第2章「リスク・リテラシーを磨く」
まず出てくるのが「なぜ、貯蓄から投資が進まないのか」である。日本人の特質によるものかもしれない。日本人ほど貯蓄が好きな民族はいない、それが何よりの証拠なのが、昔「きんさんぎんさん」が話題となった。その「きんさんぎんさん」が100歳の長寿とCMの出演料でいくらかもらった時「何に使いますか」と質問されて双方は「老後のために貯金します」と答えたという。
突っ込みどころがあるがそれはさておき、今世界恐慌にあり自分の雇用も保証されなくなった時代、若者は貯蓄に走っている。これはもう午堂氏の著作で取り扱ったのでここでは割愛させていただく。
恐慌の時代だからでこそ投資をすべきであるが、それにもリスクは負う。それ以外にも食生活など身の回りでもリスクがある、しかしどのように理解して、リスクを知るかというのがカギとなる。

第3章「「お上」に人生を預けるな」
「お上」というと多様にある。自分の勤める会社の社長、政治家、官僚を言っているだろう。自分の経済が困窮すると必ずと言ってもいいほど、メディアは政治家や官僚をたたく。国民もそれに乗じてたたく。だから「経済は一流・政治は二流・国民は三流」と呼ばれる所以である。しかしどんなに政治問題や企業問題を他人事にしても結局戻ってくるのは自分事となる。それは「お上」に頼りすぎたツケによってこうなったのであろう。なので、お上に頼らない自分らしい生き方というのが大切になる。自分の価値は「自分で創る」ことを行うこととなろう。ほかにも支配構造や、勝間氏お得意の福祉改革の言及について書かれている。

第4章「21世紀のパラダイムシフト」

「人生はコントロールするもの」

第4章最初の言葉である。人生はうまくいかない時も有れば、捨てたものでもないという時がある。それはリスクによってのコントロールと同じようなものかもしれない。それをコントロールするためにはまず自立すること。自分で考え、自分で行動し、自分の力を身につけ、自分を育てることが21世紀の中で最も大事なものとなる。高度経済成長期のように乳母車や温室で育てられる時代は終わった。これからは自分でリスクを考えることが重きになってくる。

最後に私のリスクに対する考え方だが、あまり変わらなかった。もともと本と出会って、セミナーを受けてから、自分の足で勉強し、自分でスキルを身につけるということが主になっていたからだ。それからどのようにして社会に還元していくのかというのは行動は先になるかもしれないが、必ずや何らかの形で還元していこうと思っている。
本書は「学んだ」というより「再認識できた」一冊である。