“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事

皆さんはこの20円は何なのかというのを想像できるか。
この「20円」はアフリカの子どもに与えられる給食1食分に相当する額だという。想像できない額かもしれないが、地域によるがアフリカでは祈願苦しむ人たちは約10億人もいるのだという。地球の人口が約65億人と考えると6.5%、高い数字である。その飢餓を救うためにNPO法人「TABLE FOR TWO International(以下:TFT)」が設立された。本書の著者はその事務局長であり、TFTとは、世界の飢餓の実態について、そして著者の生い立ちについて書かれている。

第1章「TFTビジネスモデルと苦難の創業期」
食にまつわることについて両極端の問題を抱えている。
・先進国では深刻化する「肥満」について、日本では「メタボリックシンドローム」などと言われている
・発展途上国では「飢餓」、これにより毎年1500万人もの人が亡くなっている(国連食糧農業機関の統計(2008年)による)。
双方の食糧問題をいかにして解決すべきかということで立ち上がったのがTFTである。
TFTは豊かな国々で多少高価でも、ヘルシーでバランスのとれた食事をすることを行い、そこから20円寄付され、その20円でアフリカの子どもたちに栄養豊富な給食を与えるという仕組みである。
第2章でくわしく書かれるが、著者はNPO法人を設立する前はコンサルタントとして第一線で働いてきた経歴を持つ。

第2章「世界最高峰コンサル会社からNPOへの転身」
著者は世界的に有名なコンサル会社でコンサルタントとして働いた経歴を持ちながらも、なぜNPO法人を設立しようと思ったのか。
コンサル会社では「問題解決」ということを教え込まれ、NPO法人でもその力は活かされている。順風満帆に見えた社会人生活であったが、一つだけ不満があったのは、感性や直感といったものが評価されない世界であったことである。
コンサル会社退社後は、いくつかの企業に入るも、新しいことをやりたいといった思いが捨てきれず、かつ日本発の仕組みに共感し「TFT」の構想を実行するNPO法人を設立するにいたった。

第3章「社会企業にビジネススキルをいかす」
ビジネススキルと言うと企業が利益を生み出す、もしくは社会的に貢献をするための力のことであり、NPO法人といった社会貢献のみ行う所は通用しないと考えている人も多いようだが、社気貢献も立派なビジネスである。ただ利益が出るかどうかという話だけである。
企業が行う営業や戦略、広告といったものもNPOとしてのブランドイメージを向上させ、寄付を促すということもNPOも企業も何ら変わりがない。

現在数多くのNPO法人が資金繰りに喘いでいる現実がある。本書はそれを解消するためにどうすればいいのかというのを教えてくれる役割もあれば、TFTという言葉を広めるという役割もある。そう思えた一冊であった。