人生がラクになる数学のお話43

最近ビジネスの場では「数学力」が注目を浴びている。現にビジネスに役立つような数学本も世に出ており、「数学=ビジネス」という構図も出来始めている。

その数学は学問の範疇の身ならず、ビジネスに裾を広げているが、今度は人生においての数学の話が出てくるという。それが本書である。本書は人生に有効な数学の話を43個紹介している。

第1章「世の中は偶然に支配される」
「数学」と「偶然」はイコールではない。確率論も数学の範疇にあり、その確率は「偶然」という言葉を否定しているのだから。
しかし、本章では偶然を肯定しながらも数学と偶然、数学と自然についてを論じている。
個人的には、偶然と自然とを連結しているところに面白味がある。

第2章「数学的な算段が命を守る」
命に関わるもの、たとえばガンなどの病気にかかる確率、あるいは10年後に地震が起こる確率、あるいは、日本では起こることは少ないが地雷や不発弾が起こる確率など、命を守るための確率論がある。
本章ではそのことについてを記している。

第3章「人を不幸にするシステム」
人を不幸にするようなものとしてどのようなシステムがあるのだろうか、と考えてしまう。
本章を読むとそのシステムはわりと身近なところにある。もしかしたらそのシステムを使っているひとは多いかもしれない。
本章ではそのようなシステムをいくつか紹介されている。

第4章「社会は男と女の仲で決まる」
男女の相性なのか、それとも結婚率や離婚率のことを言っているのか、本章では男女の関係について統計的に考察を行っているが、結婚にまつわるものの中でアウトローな話題が多いように思えた。

第5章「幸運は偶然と必然がもたらす」
働くこと、生きること、そしてそれらが第一章で述べられていた「偶然」についてのことについて論じられている。

本書は数学本と標榜しているが、数学を交えながら「数学らしからぬ」ようなことを言っている。数学本の中でこれほど「異色」という印象を持った本はみたことがない。数学アレルギーを持っている人にとってはこれほど数学に面白味のある一冊はなく、かつ数学が好きな人でも数学観が変わる一冊と言っても過言ではない。ただ唯一残念なのが、本書を読んでラクになるかと言うと、本書のタイトルの通りになる人もいれば、むしろ重荷となる人もいるかもしれない。