郊外はこれからどうなる? – 東京住宅地開発秘話

「郊外」はどこにでもあり、数多くの住宅が並んでいる。実際にヘッドタウンとしての「郊外」は人口を確保するために重要な場所としてあるのだが、そもそも郊外はどのようにできて、これからどのような未来をたどっていったのか、本書は東京の郊外にフォーカスを当て、文化と人口との関連性についても言及している。

第1章「第四山の手論」
「山の手」というと、高級感のあるイメージを持たれるのだが、実際東京は坂の多い街であり、その坂の上にできていることから「山の手」と名付けられた。その「山の手」と呼ばれるエリアは本書にて第一~第三まで名付けられており、

・第一山の手…本郷
・第二山の手…目白、四谷、赤坂、麻布、青山
・第三山の手…目黒、世田谷、杉並
(以上p.28より)

とある。本章で取り上げる「第四山の手」は「多摩」「神奈川」「埼玉」と東京の郊外のみならず、都道府県を飛び越えている。

第2章「東京は増加する人口を吸収してきた」
東京をはじめとした首都圏の人口は年々増加している。しかしそれは明治以降ずっと続いているわけではなく、「大大阪時代」があるように、一時期人口日本一の座を明け渡した時代があった。しかし東京に取り戻してから長らく人口日本一となり、日本の人口が増えた時期でも、現在のように右肩下がりの時期でも人口は増え続けている。

第3章「山の手の条件」
そもそも「山の手」にはどのような条件が必要なのか、本章では

・高台にあること(p.92より)
・住民の中心が中流のホワイトカラー(p.93より)

とある。その条件に合致している箇所は東京にも点在しているが、神奈川・埼玉など「第四山の手」と呼ばれる地域にもあるのだという。

第4章「郊外の文化論」
本書では「山の手」をはじめとした郊外がどのように文化を形成していったのかを取り上げている。本章にて取り上げられている「文化論」はあくまで郊外がいかにして文化を醸成したことのほかに、都市部と郊外の文化の違いについてなどが挙げられる。

第5章「郊外の歴史と問題」
本章における「郊外」の歴史は、イギリスの「バーゲンヘッドパーク」から始まっている。その歴史がアメリカ、日本へいかにして伝搬していったのか、そしてジェンダーや若者、さらには人種差別などどのような問題点があるのかを取り上げている。

第6章「郊外の未来」
問題点を取り上げると、未来は暗いように見えてしまうのだが、その問題点を一つ一つ解決していくことによって明るい未来が待っているという。その未来像について取り上げているのが本章である。

郊外は東京のみならず、全国にも数多く存在する。その郊外には住宅が軒を連ねているのだが、その郊外において醸成された文化は今もこれからも作り続けられる。