役者は下手なほうがいい

今となっては「個性的俳優」で有名であるのだが、元々はコメディアンの側面が強かったブルース・リーのモノマネから「笑いながら怒る人」のネタでも有名であったのだが、とあるCMで「俳優になるとは思ってもみなかった」と語ったほどである。台本を読まず、役作りもしないことで有名な竹中直人の俳優人生はどうであったのか、そのことを綴っている。

第一章「加山雄三になりたかった」
竹中直人は神奈川県出身であるのだが、小さい頃から同郷である俳優・加山雄三のファンであり、理想とした。その理想としていた中で学生時代は映画の世界などに興味を持ち、俳優や映画製作の世界に興味を持つこととなった。しかし最初に映像の世界に出てきたのは「コメディアン」としてであり、「素人コメディアン道場」でチャンピオンとなったことにある。その時に劇団にも入団し、俳優としてのキャリアも併せてスタートすることとなった。

第二章「愛がなければ映画はない」
後に映画の世界にも関わることとなったのだが、その世界の中で様々な監督や俳優たちとの邂逅があった。その邂逅の中で竹中直人はどのような影響を受けたのか、そのことを取り上げている。

第三章「役者は下手なほうがいい」
冒頭にも述べたように、竹中直人は台本を読まない、役作りをしないことをモットーとしており、そのことによって個性的な演技を持つことができるようになったのだが、そのこともあり「下手」というレッテルを貼る人も中にはいる。竹中直人はそれをおくびにも出さず、むしろ本章や本書のタイトルの通り開き直っている節がある。

第四章「「無能の人」として生きる」
むしろネガティブな印象を受けるタイトルであるのだが、役者であるから、「竹中直人」であるからでこそ「無能の人」として自分自身を見出しながら演じている。その演じている中でどのように生きていくのかそのことを綴っている。

個性的俳優でありつつ、コメディアンとしての要素もある人物であるのだが、どこかしら強い個性を引き出している。私自身はあまりドラマは観ないのだが、著者が出演しているドラマをたまに観ていると他の俳優とはことなる「凄み」が存在する。その理由が本書にて表れているのかも知れない。