ジョルジョ・モランディ-人と芸術

有名な画家というと数多くいるのだが、20世紀に入って代表する画家というと一握りしかいない。またその中には美術の造詣が深くなければ知ることがなかった人物さえもいる。本書で紹介されるジョルジョ・モランディはどちらかというと後者といっても過言ではない。モランディは画家であるのだが、静物画をこれ以上ないまでに追求してきたと言われている。モランディは具体的にどのような絵を描いてきたのか、そのことを取り上げている。

第1章「どの絵もみんな同じ?」
モランディの静物画は年齢と共に変化している。初期の頃は未来派や形而上絵画といったカテゴリに傾倒することが多かったのだが、時代と共にどんな派なのかを問わずに独特の画風を貫いていった。そのためどの絵も同じように見えて細かいタッチが異なるようになっていった。

第2章「なぜ壜なのか?」
モランディの絵の多くは「壜(びん)」がほとんどであるといっても過言ではないほど、多く描かれている。なぜ壜が描かれているのか、そこにはモランディがもっともこだわった「静物」である奥深さを見出したことにある。

第3章「過去の救済」
モランディを描く壜を中心とした絵は過去の画家たちの絵を考察しているような印象がある。それが本章では「救済」と見立てている。

第4章「芸術と人生」
モランディは生涯イタリアのボローニャに住み、アトリエに閉じこもることがほとんどだった。芸術旅行としてローマなどに訪れることがあったのだが、海外に渡ることは1~2度ほどであったという。

第5章「アトリエ訪問」
モランディのアトリエは薄暗い所であったのだが、その薄暗い部屋の中で壜を中心としたモノと向き合い、描いていった。静物画が中心であるだけに部屋に閉じこもる傾向が強かったのかもしれない。

第6章「モランディ、怒る!」
しかしながらモランディは画壇における論争に巻き込まれることがあったのだが、当の本人はそういった論争に巻き込まれることを好まず、作品を描きたいことが中心であった。しかしながら、本人の望まぬ論争に巻き込まれ、怒ったこともまたあったのだという。

第7章「ローカルにしてグローバル」
最近では「グローバル」や「グローカル」といった言葉が広がりを見せているのだが、モランディはローカルといっても、先鋭とも言えるほどのものであり、ボローニャにて描かれていた。しかしその静物画は、ボローニャを大きく飛び越え、非日常の世界を映し出していることから、グローバルの雰囲気を見せている。

私自身本書に出会うまでモランディ、そしてその絵画は知らなかった。もっとも本書にもモランディの絵画が数多く収録されているのだが、壜が非常に多くある印象にあった。しかしその壜だけのように見えて、壜の中にある無限大の奥深さがそこに描かれているようでいてならなかった。

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