日本語の技法―読む・書く・話す・聞く──4つの力

私自身、毎日のように書評を行っている人間のため、日本語に対しては些か敏感である。「敏感」とは言えど、新しい言葉に対しての「敏感」であるだけで、よくある「間違った日本語に対する嫌悪感」に対しての「敏感」ではない。

日本語には色々な可能性があり、言葉遊びができるほどひらがな・カタカナ・漢字など繊細な表現を持つことができる。日本語を鍛えることによって、社会的なコミュニケーションを円滑にするだけでなく、自分自身の日本語力、さらには日本語の可能性を鍛えることができる。本書は基礎から上級まで段階ごとに伝授している。

第Ⅰ部「日本語を基礎から鍛え直す」
第1章「日本語の基礎① 語彙力」
全ての力を鍛える根源の一つとして「ボキャブラリー」、つまりは「語彙力」である。国語辞典や広辞苑があるほど、日本語の語彙は多種あるが、それを自在に使うためには語彙とその意味を増やしていくことが必要になる。

第2章「日本語の基礎② 要約力」
日本語でもって人を伝える手段として「要約力」がある。その要約力を鍛えることによって、コミュニケーションをより円滑にすることができるという。

第3章「日本語の基礎③ 感情読解力」
さらにコミュニケーションを円滑にすることは「言葉」だけをキャッチボールをするだけではない。感情を読解し、受け取り、それを上手く伝えることもまた大切であるのだが、著者にとってはそれも「基礎」の内であるという。

第Ⅱ部「実践!日本語の「技」を磨く」
第4章「日本語の鍛錬[初級] 読む力を鍛える」
日本語の技を磨く者としてその根幹として二つあり「読み」「書き」があるという。その中でも「読み」は新聞記事の要約する、あるいは本を読むことなどにより、語彙を鍛えたり、見識や教養を広めたりすることができるようになる。

第5章「日本語の鍛錬[初級] 書く力を鍛える」
いわゆる「アウトプット」のことであるのだが、単純に「書く」だけでなく、どのようにして「書く」のか考える事、基軸をどうするのか、キーワードをいかにして組み合わせるのか、そのことを取り上げながら伝授している。

第6章「日本語の鍛錬[中級] 話す力を鍛える」
話すことにも、単純に話すのではなく、いかにして相手に「伝える」のかも必要になってくる。雑談にしても、いかにして鍛えた日本語を使っていくのか、そのことを取り上げている。

第7章「日本語の鍛錬[上級] 聞く力を鍛える」
いわゆる「ヒアリング力」や「傾聴力」を挙げている。そのヒアリングをすることにより、いかにして相手の聞きたいこと、さらには質問をする力、そしてキャッチボールを増やしながら、肝心なことを聞き取り、そして伝える力がついてくる。

コミュニケーションというのは多種あるのだが、その多種はあれど、伝える根幹は同じである。それは日本語力をいかに鍛錬していくのか、大切であるのだが、自分自身も書評家として、そして一社会人として磨き続けていきたいと思う。