今すぐ本を出しなさい ビジネスを成長させる出版入門

著者の水野様、および秀和システム 中野様より献本御礼。
私の周囲には出版ビジネスを行っている方々がけっこういる。もっとも私自身「書評家」としてやっているだけに、その関係している人とも多く出会っているせいかもしれない。ちなみに本書の著者は11年もの間、ビジネス書の世界の中心にいる人物の一人であり、10年ほど前から出版セミナーを主宰し、さらには出版社を2社経営しており、多くの著者、さらには出版をプロデュースしてきた。おそらく全貌を明かすのは本の上ではおそらく初めてと言える一冊である。

第1章「あなたのビジネスが劇的に変わる「出版マーケティング」」
そもそも出版自体が「メディア戦略」の一つとして位置づけられている。本を出すことによって、その人のブランディングを作っていき、様々なメディアに展開していく、さらには本業として成功する、あるいは別の世界へと展開していくといった作用がある。出版を通じて成功に導くためにも「マーケティング」は必要であり、それなくしては本の売り上げも、本業の売上も伸ばすことが非常に難しくなる。

第2章「本を出す前に「ゴールセッティング」をしておこう」
本を出すといっても、「ただ本を出す」だけでは、日の目を見ることはできない。1日に200冊ほどの本が発売される中で埋もれてしまうためである。その埋もれてしまわないように、本を出版する前に、なぜ出版したいのか、出版した後どうありたいのか、そのゴールの設定が大切になってくる。

第3章「まずは出版社に「企画」を通そう」
自費出版であれば関係ないかもしれないのだが、あくまで本書および著者が行うことは「商業出版」であり、出版社を通したものである。そのため売れる本にする、あるいは自分自身のブランディングを構成するための「企画」をつくり、通さなければならない。もっとも企画を通さなければ本自体ができない。その通すとしても出版社の意向や流行などをくみ取る必要がある。

第4章「売れる本の「まえがき」「目次」全パターン」
本を読む中で最初に見るものとして「まえがき」や「目次」がある。私自身もそれを見ることが多々あるため、本の構成やきっかけなどを見ながら、本書の話を見ていくようにしている。著者はその「まえがき」や「目次」にしてもパターンがあるという。そのパターンも本章にて全て網羅している。

第5章「売れる本の「本文」全パターン」
「本文」は本によっては自由に作られている所もある一方で、一つの「型」に近い形で構成されている本も存在する。その中でも本文はどのようにしてつくられているのか、著者は数多くの出版およびそのプロデュースを行う一方で、多くのビジネス書を読破してきたこともあり、パターンがあることを発見した。その発見したパターンが記されている。

第6章「本は作った後の「プロモーション」が勝負」
出版するだけであれば楽かもしれないのだが、本来は出版してから多くの方々に読まれる、つまりは売上を上げることが本当の勝負になる。出版社も売上を上げることによって利益を伸ばし、なおかつ次の出版につなげるためのきっかけにもなる。それを行うためには「プロモーション」が何よりも大切になってくる。そのプロモーションはもちろんのこと、書店回りや初版部数など出版業界でしか知らないような所にまで言及している。

第7章「出版後、人生はこう変えろ」
出版はどうしてもコストがかかる。自費出版であれば数百万、場合によっては一千万円を超えることもザラにある。程度の違いがあれど商業出版も同様にコストはかかる。そのかかるコストをいかにして取り戻すこと、そしてもっと肝心な出版後の「人生」の在り方をどうしていくか、その身のこなしもまた大切になってくる。

おそらく著者が10年ほど前から行われてきた「出版セミナー」の中身を全部とまでは言わないまでも、かなり多くのことを明らかにしている一冊である。著者が出版にかけてきた思い、そして実績を通して、本を出すことを本書にて伝えている。