なぜ働き続けられない?―社会と自分の力学

「働く女性」がだんだんと増えてきている。また活躍をする事もまた然りであるのだが、実際には「非正規雇用」が男女にかかわらず、増えてきているという。しかしながら未だに女性が活躍できない、また正社員でいることが難しいと呼ばれる時代に働き続けられない要因があるという。本書は女性が働き続けられない理由にフォーカスを当てているのだが、それをもとに男女問わず働き続けられない要因を探っている。

Ⅰ.「いま、起きていること」
「男女雇用機会均等法」が施行されてから34年の月日が流れる。その時から長きに渡って女性の社会進出を推し進めていっているのだが、「まだ足りない」という論者もいれば、昔の価値観によってその変化の妨げになってしまっていることもあり、まだまだ発展途上にある。

Ⅱ.「男女雇用機会均等の時代」
男女雇用機会均等についてを取り上げているのだが、男女関わらず、キャリアにおける「機会均等」を取り上げているのだが、単純に働く女性を増やすのではなく、女性の総合職を登用する、あるいは出世コースを男女とも用意することも「機会均等」として挙げられるのだが、実際は男性・女性といった区別もまだ残っている。

Ⅲ.「「家庭を維持するのは私」という生き方」
とはいえ雇用機会均等には課題が残っている。それは女性の産休や育休といったものがある。しかしながら後者は男性もまた推進し始めているのだが、男女差別の温床でもありつつ、また雇用機会均等としての課題の中核の一つとして挙げられている現状にある。

Ⅳ.「女性が活躍できる社会か」
雇用機会均等を達成するための一つのファクターとして「女性の管理職登用」というのがあるのだが、ここ最近では女性の管理職登用を積極的に行う企業が増えてきているとニュースで見ているのだが、まだまだ諸外国から比べると発展途上である、もしくは全く進んでいないと主張する論者もいる。

Ⅴ.「活躍推進の時代の影」
そもそも男女間格差には「経済的」なルーツがある。現状としての女性や高齢者の貧困があるが、それ以前に歴史的な観点から労働における「男女間格差」とはどこにあるのか、そのことを論じている。

Ⅵ.「新たなステージに向けて」
変化を他者に求めるよりも、まず自分自身を変化することが新たなステージに向かうことの一つである。自らの意志で壁に立ち向かい、課題を解決していきながら乗り越えることが一つである。社会を変えることはまず自分自身を変えることによって新たなステージは開ける。

働き続けられないことは社会が原因かもしれないのだが、その根源の一つとしてその変化を嫌う個人一人一人の考え方にある。変えていくことは政府や経済、社会と言った大きな観点も変えることもあるかもしれないのだが、一人一人の意志が大切であることもまた本書のメッセージの一つなのかもしれない。