人外サーカス

サーカスというと夢を与える仕事のように見えるのだが、本書は何というか「恐怖」を与える仕事のように思えてならない。「恐怖」というとお化け屋敷のように思えるのだが、お化け屋敷のような一瞬の怖さというよりも、トラウマとなって尾を引きそうなほどの「恐怖」であった。

本書で取り上げている「人外」は、いわゆる「吸血鬼」であり、吸血鬼たちがサーカス団員たちとの戦いの中で、「グロテスク」という言葉を形容するほどの戦いであった。しかもその戦いの中には文章越しではあるのだが、生々しい表現もあり、想像するだけでも背筋が凍ってしまうようなものもいくつかあった。

サバイバルであり、サスペンスの要素もあるのだが、それ以上にホラーの要素もあるなど、ダークな意味で至れり尽くせりの一冊と言える。