みちづれはいても、ひとり

「旅は道連れ,世は情け」という諺がある。これは、

「旅では道づれ同士が助け合い、世渡りでは互いに同情をもって仲よくやるのがよい」「広辞苑 第七版」より)

とある。しかしながら、本書で取り上げている「みちづれ」は仕事も男ともうまく行かない40代の女性同士といった、まさに「奇遇」の中で出あったっふたりが行き場のない旅を出て、そこから何をつかむのかという物語である。

そもそも40歳となると「不惑」となるため、「惑う」と言ったことがなくなり、人生としての指針が固まる時期と言われているのだが、「不惑」と言う言葉があたかも死語になってているような現状にある。もっとも40代になっても「惑う」「迷う」といった声も数多くあり、40歳以降は「不惑」と言うよりも「多惑」と言い、惑いが多い年代と言えるのかもしれない。仕事について、異性についての「惑い」が如実に表れた一冊であった。

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