気象予報と防災―予報官の道

私自身、気象情報は毎日気にして見る。インターネットもそうであるのだが、天気予報専用アプリもダウンロードしており、日々のチェックは欠かさなくなってしまっている。特にこの時期は台風もあるため、尚更とも言える。

その気象予報はどのような歴史を辿り、なおかつ気象予報士はどのようにして予報を行っていくのか、そのことについて取り上げているのが本書である。

第一部「天気のしくみ」
第一章「大気のふるまい」
空気にしても、天候にしても、それらについての構造の根幹を担うのが「大気」である。大気といっても、ざっくりとした印象であるのだが、その中には偏西風はもちろんのこと、雲や風、気温などの変化がぎっしりと詰まっている。大気が気候に対してどのような振る舞いを行っているのかを取り上げているのが本章である。

第二章「大気を描く」
大気の状態を表しているのが「天気図」である。等圧線や前線、さらには高気圧・低気圧など天気や風の動きにまつわる情報がよく分かるようにできているのだが、この天気図こそ、「大気を描く」ことそのものであるという。

第三章「天気予報発展のあしどり」
今でこそ天気予報は衛星からの情報を元にして、計算でもって予測していくようになった野だが、かつては天気にまつわる諺や習わしでもって占っていた。その占いから科学技術が進化を遂げ、17世紀に晴雨計、19世紀には天気図ができあがった。

第二部「予報官という職業」
第四章「天気予報の実像」
テレビ、新聞、インターネットなど様々なツールでもって伝えられる天気予報は、あくまで「予報」であるため、外れることもある。もっともここ最近では幅をきかせることもある一方で、予想のための技術も革新していることからより正確な予想が行われる。とはいえど、そもそもどのように予想して伝えていくのかは予報官としての大きな仕事である。

第五章「予報官の実像」
気象予報をつくるためには気象予報士がいるのではと思いがちであるのだが、実際は予報のデータを分析して気象情報を予測していくのが「予報官」といいう仕事である。朝から夜までデータや予想とを突き合わせ、予報をつくる仕事であるのだが、心がけも細かく、なおかつ夜明け前からが忙しく、そして細かい判断が必要になってくる。そのため今日ある気象情報の「縁の下の力持ち」が本章で明らかにされている。

第六章「用語とのつきあい」
日々気象についての用語や定義は変わっていく。かつてなかった「特別警報」は毎年のように使われ、なおかつかつては「夕立」と呼ばれていたものが10年ほど前からは「ゲリラ豪雨」に変わっていった。他にも用語として新しく出ることもあれば、かねてから使われている用語もあり、どのようにして使われるのかを取り上げている。

第七章「警報を考える」
第六章でも述べたのだが、ここ最近での気象情報では「警報」と「特別警報」が使われるようになった。特別警報の基準については地域によっても異なるのだが、気象庁によって基準は設けられている。他にも警報・特別警報の発表時期についても基準はまちまちであれど、仕方などがあるという。

第八章「防災の軸足を移す」
ここ最近の気象情報はやたらに「異常気象」といったことを挙げることがある。不安を煽る印象を持たれるのだが、防災的な観点から見るとそういったことは必要なことかもしれない。当たり前にあるようなことだと意識してしまい、災害になってしまうと意識が麻痺してしまい、逃げ遅れ、命を落とすことにも成りかねない。そのため、気象情報は防災の観点からも警戒や避難などについての軸足を移し、災害から人を守るための情報を抽出して伝えることに軸足を置いている。

この頃、台風の起こりやすい時期であり、なおかつ周期的に天気が変わりやすくなる。そのため、最新の気象情報に注意が必要であるのだが、その注意の必要である情報を提供するためには多くの予報士の支えがあることも忘れてはならない。