「フェール・セーフ」と言う言葉は、
「誤りや失敗が起きても安全を保障するための機構。または、そのような設計思想。異常時の自動停止機能や、一部が壊れても全体に致命的な影響が及ばないようにする設計など」(「広辞苑 第七版」より)
とある。システム開発や機械開発などの場ではよく聞くのだが、日常生活ではなかなか聞き慣れない言葉かもしれない。しかし日常生活にこそ「危険」「事故」といったフェールの部分は数多く存在しており、それを対策をし安全(セーフ)にするといった動きも必要である。その「フェール・セーフ」の考え方から、特に災害などの対策としてどうしたら良いのかを伝授しているのが本書である。
1章「フェール・セーフな日常生活」
日常生活にこそフェール・セーフは存在する。例えば交通事故を避けるために道の歩き方から横断歩道の歩き方、さらには健康的な危機を避けるために休養などの養生などなども存在する。
2章「これまでの重大事故(フェール)」
本章ではどちらかというとマクロの観点からの重大事故を取り上げている。有名どころがあるのだが、東日本大震災による複合事故や年金情報の流出といったことも列挙している。
3章「フェール・セーフの技術的側面」
フェールはシステム面でも存在する。特にインターネットのホームページを見る際に「503」や「500」エラーが頻繁に起こる。もちろん原因は様々であるのだが、とくに「500」はシステム面のフェールによるものがある(ちなみに「503」は輻輳エラーのため、アクセス過多といった側面が強い)。輻輳にしても重大エラーにしてもフェールであることは変わりないのだが、そのフェールがどこにきているかも種類があるのだが、その「種類」について列挙している。
4章「フェール・セーフの社会的側面」
フェールはシステムに限らず、社会的な行動からも起こっている。そのフェールに対して、どのような対策を行うべきなのか、そのことについて取り上げている。
5章「これからの問題」
これから起こりうるフェールも少なくない。本章では「原子力発電」や「高齢者問題」「災害」「サイバー攻撃」などがある。
6章「セーフ(安全)を実現する最新技術」
フェールからセーフを実現するためには意識的な側面もあるのだが、他にも技術的な側面で行うことも必要とされている。その中でもIoTやAIといった技術もまた「セーフ」に結びつけることができるという。
7章「これからの問題(フェール)を新技術が安全(セーフ)にする」
1章から6章までのことを取りまとめて、これからの安全はどうなっていくのかについて考察を行っている。
フェールはどこにでも存在しており、なおかつ想定できるものもあれば不測の事態で起こることもある。その対策として何を行ったら良いか、本書はマクロの面が中心となるのだが、私たちの生活にもフェールが潜んでいる以上、必ずセーフに結びつけられることがある。その可能性を本書では見出せる。
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