AIが変えるお金の未来

AIにしても、お金にしても、自身に変化があるだけでなく、その変化により私たちの生活の変化にも大きく関わってくる。お金の未来となると、昨年の10月の消費税が10%に引き上げられたのをきっかけにキャッシュレスの推進が図られるようになった。またここ最近ではIoTなどによるAIの技術の進歩もある。本書はそのAIとお金、それぞれの未来と私たちの生活がどのように変化していくのか、フィンテックとともに取り上げている。

第一章「AIに分析される私たち」
最近資産運用のページにて、年収から性別・年齢などの情報を入力していくと最適な資産運用の方法についてシミュレーションをしてくれるようなものが金融にまつわるサイトで目にする。それだけでなく、資産運用を行っていくとスコアが出てきて、最適な資産運用をするといったツールまで出てきている。それも全てAIによって行われており、それに支配されている現状を取り上げている。

第二章「メガバンクを脅かすフィンテック」
本書にて重点的に取り上げる「フィンテック」は「ファイナンス(Finance)」と「技術(Technology)」の言葉を合わせた造語であり、情報技術などを駆使した金融サービスのことを総称して名付けられている。ちなみに日本の金融機関でも積極的にフィンテックを利用するようになり、融資の基準として扱うこともあるのだという。

第三章「ITが変える保険業界」
保険業界もまたフィンテックを利用することが往々にしてある。その保険(Insurance)と技術(Technology)を合わせて「インシュアテック」と呼ばれるものも出てきている。生命保険会社によっては万歩計のアプリも組み込まれ、歩数によってキャッシュバックを受けることができるシステムもあるという。

第四章「仮想通貨狂騒曲」
仮想通貨というと「ビットコイン」をはじめとしたものが有名であり、昨年・一昨年と一大ブームの如く、ビジネスの中で取り上げられるようになった。しかしながら悪い話題としてはその1年前にあたる2017年にもビットコインは話題となったのだが、こちらは交換所で大量のビットコインが消滅したという事件である。結果的には業務上横領を行ったことが原因だった。

第五章「キャッシュレス覇権」
今となって「狂騒曲」となっているのは仮想通貨と言うよりも「キャッシュレス」である。以前からもクレジットカードのみならず、電子マネーや、さらにはQRコードを使っての支払いなどもある。しかもなぜ「狂騒曲」かというと、消費税が10%になる前後に一般社団法人キャッシュレス推進協議会、そして経済産業省の採択により、キャッシュレスの支払いによるポイント還元を行っていることから、こぞってキャッシュレスに切り替えると言った動きもある。しかしながら未だに日本の現金主義は根強く、そこからキャッシュレスへ切り替えるにはどうしたら良いか、銀行のみならず、様々な企業による競争も起こっている。

第六章「国家が発行するデジタル通貨」
国家的にデジタル通貨を発行するといった動きについて取り上げているのだが、実際に計画、研究などをしている国は中国や欧州と言った海外であり、日本では進んでいない。通貨ではないのだが、ポイントとしては総務省が行う「マイナポイント事業」が進められており、今年の7月から申込みが開始され、秋頃には実際に利用できるという。本当に浸透するかどうかは謎であるが。

第七章「フィンテックの「影」」
キャッシュレスや仮想通貨などもフィンテックに入ってくる。そう考えるとフィンテックはより便利になったとも言えるのだが、その反面セキュリティや個人情報保護などの観点からのリスクも捨てきれない。もちろん法的整備なども行っているのだが、それでも足りないのが現状としてある。欧州では「EU一般データ保護規則(GDPR)」が定められ、既に施行されている。こちらはシステムなどのデータ管理に関して、個人単位でデータコントロールを行う権利を持つというものである。

AIの技術は日々進化を遂げており、私たちの生活にも影響を及ぼしている。本書は「お金」にフォーカスをするだけでも、官民、さらには私たちの生活にどれだけ影響が出てきているのかがよく分かる。