「面白い」のつくりかた

新型コロナウイルスなど、暗い話題がここ最近では際だって多い時代である。だからでこそ「面白い」ものをつくりたい、もしくは伝えたい方もいる。ではどのようなものが「面白い」のかが分からないと言う方も少なくない。その「面白い」を見つけ、なおかつつくり上げていくためにはどうしたら良いのか、本書では企画・製作などの立場から伝授している。

第一章「そもそも「面白い」って何?」
あなたが「面白い」と感じるところはどこにあるのか。人それぞれと言えばそれまでになってしまうが、笑えるもの、知的好奇心をくすぐるもの、思いがけない「共感」を生み出すもの、自分との「差異」を感じられるもの、と挙げるだけでもきりがない。特にこの中でも「共感」や「差異」と呼ばれる相反する要素が「面白い」を生み出しており、意外なところ・ものが人気を呼ぶようにもなったという。

第二章「アイデアは思いつきの産物ではない」
よく思われている「アイデア」は「思いつき」というイメージが持たれる。しかしながら本章でも言及しているのだが、アイデア術の中の多くは思いつきではなく、よくある要素の「組み合わせ」による。しかしその「組み合わせ」が予想がつかないことから「アイデア」となる。

第三章「学び(取材)からすべてが始まる」
面白いものを生み出すためには、アイデアを持つのだが、そのアイデアを得るための材料としての「学び」を行うことが大切であるという。その「学び」こそ取材などの手段がある。

第四章「「演出」なくして「面白い」は生まれない」
本書の著者は番組の企画・製作・演出を行っている。そのため面白い番組を生み出すためにはどうしたら良いのか、といったことを捻出する必要があるのだが、その捻出の中には「演出」は欠かせないものであるという。

第五章「「分かりそうで、分からない」の強烈な吸引力」
私自身も数多くの本を呼んで思うのだが、ここ最近の本でも「分かりやすさ」にこだわる方々も少なくない。もちろん分かりやすさがあると、どのような本なのかを知ることができるが、私自身書評として取り上げるものとしてはわかりやすい本もあるのだが、本章のような「分かりそうで、分からない」という本もいくつか取り上げている。
私事はさておき、すぐに分かるようなことがあると廃れてしまう。その一方で一見分かりやすいように見えるのだが、一目で見ても分からず、他の所で調べたくなると言うようなものだと、ドンドンと深みにはまっていき、面白味ができるようになる。「分かりそうで、分からない」という吸引力は自分でも体験したことはあるのだが恐ろしい。

第六章「「構成」で面白さは一変する」
TV番組やドラマ、アニメはもちろんのこと、書籍にしても「構成」はつきものである。その構成をどのようにするかによって「面白さ」は大きく変わっていく。

第七章「「クオリティー」は受け取る情報量で決まる」
「クオリティー」は一体どのようなものなのか。かなり難しいものである。もっともクオリティーが高いと言うと、その一つ一つのもの・ことが良いものであることは分かるのだが、どのように「良い」のか、と言う疑問を持ってしまう。とどのつまり、受け取る「情報量」の良し悪しによってクオリティーは変わってくる。

第八章「現場力を最大限に発揮させる「マネジメント」」
面白い番組をつくる大きな役割を担っている人というと、私たちの中では「プロデューサー」と連想してしまうのだが、実際に現場で指揮を行っているのは「ディレクター」である。そのディレクターの役割とマネジメントについて取り上げているのだが、本章の中でTV番組がなぜつまらなくしているのかについて、

「ここ20、30年の間になぜかディレクターの地位は低下し、名の知れたテレビマンと言えばプロデューサーばかりになってしまいました。「最近、テレビがつまららない」と言われる原因には、視聴率主義や様々な規制が増えたことが挙げられますが、私はクリエイターとしての誇りや尊厳が守られていない業界の体質が大いに関係していると見ています」(p.169より)

とある。つまりはディレクターをはじめとした現場の「軽視」がそうさせているのだという。

第九章「妄執こそがクリエイティブの源である」

「妄執(もうしゅう)」とは、

「迷った心で,物事に深く執着すること。」「大辞林 第四版」より)

である。迷った心での執着や誤った執着を辞書では取り上げているのだが、本章ではポジティブな意味を持っており、信じているものに傍目も触れずにひたむきに執着して、新しいものをつくり上げていく、というその考え方や姿勢のことを表している。そのことにより「面白い」コンテンツが生まれてくる。

「面白い」はつくることができる。しかしその「面白い」を他の所にあるのではないかと考えてしまいがちになるのだが、本当は自分の周囲に「面白い」があり、組み合わせたり、つくり上げたりすることが生み出されていく。「面白い」もの・ことは飽和することなく、生み出し続けることができる。

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