「大人の引きこもり」を救え!

「引きこもり」と言うと、学生などの若い世代のことを表していることはもう既に過去の話である。現在はと言うと本書のタイトルの通り「大人」が引きこもりとなってしまう事例も数多くある。本書はその引きこもりから社会復帰までに至るまでの現状と、支援のプロセスなどを取り上げるとともに、「大人の引きこもり」から脱するにはどうしたら良いかなどを社会的な観点から紐解いている。

第1章「「引きこもり」を救うという仕事」
「引きこもり」と言うと、学校などの要因により不登校となり、なおかつ塞ぎ込んでしまうというイメージを持たれる。しかしながらその範囲が広がり、就職活動の失敗により、引きこもりになるケースもある。他にも就職活動は成功しても、会社になじめずに辞めてしまい、引きこもりになってしまうケースなど、大人の引きこもり自体が多種多様なケースである。その引きこもりから脱出するのは一筋縄ではいかない。「一筋縄ではいかない」理由として塞ぎ込んでしまい、脱するための最初の一歩を踏み出せないためである。この「一歩」を踏み出すための支援を著者が行っているという。

第2章「100万人が引きこもるという国」
そもそもなぜ大人の引きこもりができるのか、要因は第1章でも取り上げた通り「多種多様」であると書いたが、本章では少し細かく紐解いている。先ほどは「不登校」や「就活の失敗」「職場になじめない」とあるが、他にも「病気」といった要因もある。さらに「大人」ゆえに厄介な部分がある。「長期化」しやすいところにある。

第3章「障害のある少年が、非行少年になるまで」
引きこもりを支援する著者自身の人生について綴っている。ハンディを抱えたのだが、学校でハンディのことでいじめられ、なおかつ家族の雰囲気も悪いこともあり、「非行少年」となった。「非行少年」の時代から留学を通じて、自分自身を見つめ直すことができ、やりたいことが見つけるようになった。特に留学までのプロセスは本章の中では特筆である。

第4章「自分の「天命」を見つけるまで」
帰国後、働くこととなったのだが、働くことを通じて、自分自身の「天命」を見つけるようになった。それは前章にもあった非行少年時代の経験からその支えとなる活動であった。やがて非行少年の支援から、引きこもり支援と変わり、現在に至っている。

第5章「引きこもり支援の実際」
著者が実際に行われている引きこもり支援についてを取り上げている。本章ではいくつかの「ありのまま」のケースを文字にしている。実はドキュメントとしてメディアにも取り上げられている。周囲からは「やらせではないか」「脚色していないか」「誇張していないか」という声もあるのだが、本当の意味で「ありのまま」であるという。

第6章「集団生活だから立ち直れる」
引きこもり支援を通じて、著者自身が校長を勤めるスクールに入学する。そのスクールは集団生活を通して引きこもりから立ち直るためのプログラムを行う。引きこもりから脱出して、自立して、社会に出ると言うのが狙いである。

第7章「長いトンネルを抜けた人々」
「大人の引きこもり」は10数年、ひどい人の場合20・30年といった長きに渡ることがある。そこから抜けるのはなかなか難しいが、著者はそれを何度も行ってきた。実際にどのように引きこもりから脱することができたのか、そのケースを紹介している。

第8章「家族だからこそできること」
もちろん著者一人では引きこもりを脱することができない。引きこもりを脱する、あるいは未然に防ぐことは「家族」の存在が不可欠である。その家族として何をすべきなのかを説いている。

第9章「前を向いて、未来へ」
著者自身のこれから、そして引きこもり支援のこれからなど展望や、自らの「転機」となった出来事についてを取り上げている。

昨今では引きこもりの高齢化が進んでいるとも言われている。以前に「8050問題」と言ったものもあるのだが、それに並んで「大人の引きこもり」も深刻化している。療法の問題を脱するには周囲の「支え」が必要であるのだが、その姿が本書にある。

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