問題社員を一掃する 劇的! 組織改革

「改革」を進めていかなければならない時期なのかもしれない。リーマン・ショックの時にも倒産や不振にあえぐ企業は数多くあるのだが、コロナ禍になるとその度合いがさらに増している様相を呈している。特に飲食業が色濃くあり、倒産や閉店をする所も数多くある。

本書は「改革」とひとえに言っても「組織改革」として、問題社員を一掃し、有能な社員を残して能力を引き出すといった方法を示している。いわゆる「リストラ」なのではないかと言うのだが、実際は少し違う。

第1章「低成長時代に突入した日本経済 中小企業には“ただ飯喰らい”の問題社員を守る余裕はない」
本書は2017年に刊行されたが、その時は「低成長時代」とあるが、現在は「停滞時代」といった方が良いかもしれない。こういった状況の中でどのように活性化していくのか、企業単位のみならず、個人単位でも行っていく必要があり、問題社員はおろか、稼ぐことができない社員、ましてや少ししか稼げない社員ですから守る余裕はおろか、力すら持っていないような状況にある。

第2章「社員一人ひとりのP/Lを可視化して稼がない社員を明確にする」
言うまでもないが「P/L」は損益計算書であり、「生産額」を割り出し、生産に見合う人材を残す事を提言している。本来であれば「P/L」であれば「収益」の度合いも見るのだが、あくまで「生産額」である。

第3章「問題社員を一掃し、無駄な人件費をゼロにする」
「問題社員を一掃する」とひとえに言っても簡単ではない。労働規約や就業規則の見直し、さらには退職に関する争議や訴訟リスクの低減、ハラスメント対策や、不正対策などやらなければならないことが目白押しである。そこでどういったことが必要なのかについて取り上げているのが本性である。

第4章「社員の能力を120%引き出す「仕組み化」で収益力を高める」
残った社員の能力を引き上げることもまた行っていく必要があるものである。人材をいかにして「人財」として行くか、研修をはじめとした教育システムから、業績に対してのフィードバックをどうしていくのかなど考えていく必要がある。

第5章「あらゆる業務に競争原理を働かせて「稼ぐ」意識を持たせる」
読んでいったビジネス書の中には「競争」を肯定するような本もあれば、逆に否定的にとらえ、なくしてくことで成功したと言うような本もある。本書はむしろ前者であり、「競争」を取り入れることによって、相乗効果を働かせ、稼ぐようになる組織をつくることができるという。
第6章「組織改革の成功には経営者の「覚悟」が不可欠」
もっとも「改革」を進めていくのは社員一人ひとりであるが、そのスタートの決断を下すのは「経営者」である。決断をしていくためには相応の「覚悟」を持たなければならないが、どのような「覚悟」を持つべきかを取り上げている。

昨今のコロナ禍において、大きな変化を否が応でも求められている。その上で、事業にしても、人材にしても、組織にしても大きな改革が迫られている中、本書のような組織改革は強く求められる。3年前であれば「すべき」と言えるのだが、現在の変化は「しなければならない」という表現になる。