著者の江上剛と言えば第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、日本振興銀行と銀行畑を歩み、その経験から金融関係、さらには経済関係、サラリーマン関係の小説を多数出している。そう考えると、本書の小説は異色中の異色と言える。
本書の舞台は高校生からの町おこしである。しかし実際に観てみると金融や経済の要素が散りばめられており、題材が異なれど、著者自身が培ってきた経験が活かされており、金融機関の役割、そして最近でも話題となっているクラウドファンディングも取り上げられている。
金融小説や経済小説となると、よくある陰謀や駆け引きと言った所が如実に表れるのだが、本書は少なく、むしろ「高校生の社会勉強」といった要素が強い。もちろん銀行や信金も絡んできており、金融小説ならではの場面も出てくる。ただ本書は地域活性化のために何を行うか、といった側面と高校生たちの活躍もある、金融と言うよりも青春の側面の強い小説であった。
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