魚にも自分がわかる ――動物認知研究の最先端

「認知」は人間特有のものではない。多くの動物には「脳」があり、その脳の働きなどにより、「認知」機能が備わっている。しかし動物によって、どのように認知されるかは異なる。

そこで本書である。本書は魚における認知機能がどのようなものなのか、現在の研究でわかっている所まで取り上げている。

第1章「魚の脳は原始的ではなかった」

元々動物にも種類があるのだが、魚類・両生類・爬虫類といったように進化をしてきた。良く言われている中で特に魚類は本能を中心に生きるため、認知機能・学習機能は無いのでは無いかとまで言われ続けていた。しかし昨今では、魚類の脳には原始的に本能だけで動かずに、認知機能が備わっており、どのような行動などに影響を及ぼしているのかが見えてきたという。

第2章「魚も顔で個体を認識する」

魚というと目を持つ種類が多いのだが、どのようにして視認しているのか。とりわけ魚の顔や個体を目でもってどのように認識するのか、その仮説と検証を取り上げている。

第3章「鏡像自己認知研究の歴史」

「鏡像」とは、よく人間が鏡の前で自分がいる姿のことであり、それを認知することを「鏡像自己認知」である。人間における「鏡像自己認知」にまつわる研究はよく行われているが、本章ではその研究の歴史を開かしている。

第4章「魚類ではじめて成功した鏡像自己認知実験」

前章で取り上げた鏡像自己認知研究を、初めて魚で行う実験を行った。本書はその実験をどのように行い、最初に論文を発表したのかを取り上げている。

第5章「論文発表後の世界の反響」

「初めて」の研究成果であるだけに、世界中から賞賛・批判両方の声が上がった。それらの声に対して、どのように反応し、なおかつ追加実験の材料にしていったのかを取り上げている。

第6章「魚とヒトはいかに自己鏡像を認識するか?」

自分自身を鏡に映す「自己鏡像」は認知に関する学問でもけっこう扱われている。そもそも魚と人間とで、どのように認知されるかが異なるのかも併せて取り上げている。

第7章「魚類の鏡像自己認知からの今後の展望」

少し先立つ話になるが、大阪市立大学のホームページにも「魚類は鏡に映る姿を「自分」と認識できる!~世界の鏡像自己認知研究は新ステージへ~」が今年の2月18日に掲載されている。それも含めて今後、魚類の鏡像自己認知がどのような役割を担うのかを論じている。

鏡の前に移る姿は人間だけでなく、他の動物も鏡の前にいると、視認や行動などの特徴がある。中には相手を敵だと認識して鏡と闘うような動物もいる。では魚はどうなのか、おそらく研究されてこなかった所を切り拓くことにより、魚の生態における側面が見えてくる。

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