孤独は社会問題 孤独対策先進国イギリスの取り組み

本書はイギリスが舞台であるのだが、日本でも「孤独死」が社会問題となり、内閣にも特命担当大臣として「孤独・孤立対策担当」が設けられるようになった。解決までの道は長く険しいものの、政治や経済、地域など様々な観点から解決への道筋を立てられるかにかかっている。

さて本書はイギリスにおける「孤独対策」であるのだが、政治に限らず王室も巻き込んでの対策を行っているという。

第一章「孤独担当大臣の創設」

「孤独」に関する問題は日本に限らず、イギリスにも暗い影を落としている。その暗い影を振り払うべく、2018年テリーザ・メイ首相内閣にて世界で初めて「孤独担当大臣(正式には「孤独問題担当国務大臣」)」が設けられた。当時のイギリスは7人に1人が孤独を感じるほどのものだった。その背景としてある政治家が殺害された事件起因している。

第二章「孤独を救う一歩」

日本でも高齢者の「孤独」は問題視されており、民間・地域などでも対策を次々と行っている。イギリスもまた然りであるが、イギリスの場合は「ageUK」と呼ばれるキャンペーンを行い、高齢者を孤独から守るための施策を次々と行っている。

第三章「英王室の役割」

9月8日、70年7ヶ月もの在位期間を誇ったイギリス女王エリザベス2世が崩御された。そして9月19日に国葬が執り行われ、日本からも天皇皇后両陛下が参列した。

本章では女王エリザベス2世をはじめ王室におけるチャリティー活動を取り上げている。

第四章「ノブレス・オブリージュ」

「ノブレス・オブリージュ」は「高貴なる者の義務」を表しており、イギリスでは上流階級では重んじている精神である。日本でも皇族を中心に同様の精神にて義務を果たしている。そのノブレス・オブリージュを実行するために寄付を含めた社会への「還元」をどのようにして行っているのかを論じている。

第五章「ロンドンを歩けば」

本章では実際に著者がロンドンを歩いて見た風景を綴っている。そのロンドンの街中にある店や通りを歩いて行く中で「孤独対策」がどのようになされているのかを肌で感じている。

第六章「弱者を切り捨てない社会」

前章に引き続き、街中を歩く、あるいはメディアに触れていくなどを行っていく中で孤独にさせない、あるいは弱者を切り捨てないための「対策」がどのようにして行われているのかを取り上げている。

日本は日本で孤独に対しての対策を行っているのだが、イギリスにも日本とはまた異なる対策を行っていることが本書でもよくわかる。もちろんイギリスが全て良いかと言うともちろん日本にて転じてやってみないとわからない部分もあり、なおかつ「孤独」に関してのあり方は日本とイギリスとで本質が異なる部分もある。そのため本書は日本における孤独対策としての「参考」として考えた方が良い。