少女を埋める

「自伝的小説」はこれまで何度も読んできたのだが、著者の小説は自ら「社会」に対して、「メディア」に対しての苦しみが映し出されている。コロナ禍に伴っての帰郷と、その故郷での絶望と脱出が描かれている。

本書にて描かれている物語は著者自身のインタビューなどで度々取り上げられていた故郷や家族についてが中心となっている。もちろん「自伝的小説」のため、主人公像は別の人であるのだが、中身は著者自身である。

私自身も管理人紹介にもあるように北海道旭川市の出身である。最近はコロナ禍で帰らなかったのだが、それ以前は毎年のように旭川に帰郷していた。故郷の空気はどうなのか。本書とは異なり帰りたい部分もあれば「帰りたくない」部分がある。その「帰りたくない」部分が著者の実体験、もとい本書の部分に一部当てはまる。もちろん境遇も大きく異なるため、共感できる部分・できない部分はあって当然である。良い本というよりもむしろ著者自身の故郷・家族に対する心証を読んでいる、そんな気がしてならない一冊であった。

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