iPS細胞はいつ患者に届くのか――再生医療のフロンティア

「iPS細胞」が発見したのは今からちょうど10年前、京都大学iPS細胞研究所所長・教授の山中伸弥氏だった。その後、iPS細胞に関する本も出始め、実用化の道をたどっていき、2012年にはノーベル生理学賞・医学賞を受賞するまでになった。実用化に向けて一歩一歩進んでいるのだが、本当に私たちがiPS細胞を使った医療の恩恵を受けるのはいつごろになるのか、本書では再生医療の現場とともに取り上げている。

1.「夢からの一歩一歩―iPS細胞応用への道」
冒頭にも書いたようにiPS細胞が発見されたのは2006年のことである。そのiPS細胞が発見されるまではどのような経緯をたどっていったのか、そしてその産物が発見すると言った核心はどこにあったのか、そのことについて取り上げている。

2.「パーツをつくって、貼りつけて―組織工学の威力」
もちろん細胞は臓器と同じく単独ではなしていくことはできない。様々な細胞・臓器がパーツとなって組み立てられ、そして初めて機能する。そのパーツをつくり、組み立てていく学問が「組織工学」である。その組織工学でもってどのようにiPS細胞をつかっていくか、そのことについて取り上げている。

3.「再生医療研究の現在―気になるあの部位は、いま」
iPS細胞でもって部位を再生する可能性はどこにあるのか本章では脳梗塞や肝臓・腎臓などの臓器の病気からいかに再生していくか、そのことについて取り上げている。

4.「再生医療のこれから」
再生医療は今どこにあるのか、そしてiPS細胞をきっかけにどのような未来を切り開くのか、その展望を語っている。

iPS細胞は再生医療の未来を秘めていると言っても過言ではない。そのiPS細胞がどのようにしてでき、そして実用化までのプロセスがどこまで言っているのか、その途中経過を知ることができる一冊と言える。