これでは愛国心が持てない

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これでは愛国心が持てない (文春新書) これでは愛国心が持てない (文春新書)
上坂 冬子

文藝春秋  2007-01
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愛国心とは何か?
これまで本書以外に何冊・何十冊の本と出合ったが答えはたくさん見つかった。しかし、本当ともいわれる答えというのには残念ながら絞れない。とはいえ愛国心という意味合いをここまで問い詰められるというのは、愛国心に関して懐疑心を抱いている今の日本だからでこそできるのではないかと私は考える。もし日本が自然と愛国心について語れたならばここまで考察できてはいなかっただろう。
さて本書である。
本書は2部構成となっており、第一部では一昨年に起こったロシアの日本人銃撃殺害事件について、第二部では靖国問題について日本の在り方とリンクしながら言及している。
まず第一部については詳細にいってみる、この事件は一昨年の夏であるのですでに風化してしまった様相であるが、北方領土問題と一緒に考えるとこの事件は風化してはいけない事件の1つである。なぜか。北方領土については千島・樺太交換条約により千島よりも南の島、つまり歯舞諸島、色丹島、国後島、択捉島の北方領土はもともと日本の領土である。それは今も変わらない事実である。しかしスターリン率いるソ連は9月5日に占領された。ポツダム宣言に盛り込まれているという人もいるがそれは完全に間違っており、北方四島に関する文言は一切記述されていない。つまり降伏して敗戦国になったにもかかわらずソ連に不法に占領されたといってもおかしくない。それが60年以上たった現在でも返還されていない。余談であるが、本書にも記述されているとおり著者の本籍は国後島である。これまで2島返還や4島返還に積極的な姿勢へは何度も近づいているが、日本は何を考えているのかそこまでになってしまうことが多い。本当に返還に積極的な姿勢なのかと言うと疑いざるをえない。本当だったら一昨年の事件にしろ、サハリン2号にしろ、日本政府がロシア政府に対して強硬な姿勢をとらないといけないのに、良い意味で物腰の柔らかい温和外交、悪い意味では腰抜け外交と言いざるをえない。日本の国家には本当に愛国心があるのかどうか、著者同様疑ってしまう。
靖国神社については中国や韓国、それと全く関係のないアメリカやオーストラリアがケチをつけてくる。
そもそも靖国参拝は他国が口を出す筋合いはないと私は思う。さて本書の前半の部分では「富田メモ」について書かれている。「富田メモ」はちょうどおととしのこの日の日経新聞の1面にて富田メモについて書かれており、昭和天皇はA級戦犯が靖国神社に祀られたことを不快に思われ、それ以来靖国参拝を行わなかったということである。これについては今でも賛否両論が相次いでいるが、私も著者同様不快である。そもそも合祀されたA級戦犯は私はアメリカなどの戦勝国がつけた言いがかりという風にしか思えない。しかも「東条英機=悪」や「東条英機=独裁者」という声をよく聞くが根本的に間違っている。戦争を仕向けた張本人という声もあるが、これも間違っており天皇の詔以前からアメリカと日本は戦争状態であった。それに日中戦争(支那事変)や朝鮮に関することについては全く関わっていない。それに合祀された本当の理由は東京裁判において天皇訴追の可能性があったのだが、自ら忠誠を尽くしていた天皇を、自ら全部の罪を背負って守り抜いた功績によるものである。
富田メモの話に戻る。そう考えるとA級戦犯について裏切ったという不快な印象もある反面、国際的な調和をお望みになられていたことも考えると富田メモにはそういった側面もある。著者はそれについて不快な思いを「正論」にて明かしている。もっと凄いと感じたのが富田夫人についてである。夫人の行動力といい、質問力といい衝撃を受けた。
本書は著者の積極的・精力的な取材により新書という制約条件の厳しくてもここまで内容の濃いものであった。それに愛国心の持てない理由も非常に説得力があり、日本の国家としての愛国心を疑いざるを得ない。

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