「アイデア」が生まれる人脈

これまでいくつか「人脈術」に関する本を読んできた。ある本は具体的な人脈形成を、またある本では人脈作りの楽しさを、ある本では戦略を、ある本ではプラットフォームを、と人脈形成にも人それぞれのやり方があるのだなと考える今日この頃である。

では本書の人脈術はというと、本書のタイトルを見るなり最近参加した「出逢いの大学」にて「出逢い」は「アイデア」を生み出す。なぜなら出逢いをローマ字表記にすると「DEAI」。このうち「I」をDの前に持ってきたら…、

「IDEA」

になる。まさかそれと合致した本があるとは思わなかった。
本書はアイデアを生み出すための人脈形成の仕方について書かれた一冊である。

第1章「「人脈」なんてカンタンだ「人脈」があればカンタンだ」
人脈を築くためには「量」よりも「質」、そして「ゆるく」「広く」、ビジネスとプライベートを混合させてという意識をもっている。
「社外人脈」と「社内人脈」と区分けして、ともに重視しようというような主張もあり、その主張に似ているのだが、違う点では「社外」「社内」という区分けはせず「人脈」を一緒くたにしていくことがアイデアを出す人脈術としている。
この後は人脈術の一つとして「コネクター」の手引きについて書かれているが、本章ではこのコネクターの利点について書かれている。

第2章「「人脈」をデザインしよう」
人脈は意識して構築し、目的・用途を元にしてつながり、つなげさせる役割を担う「コネクター」になる。そのための第一歩が本章で書かれている。
本書のタイトルにある「アイデア」を出すということだから互いの知恵を呼び覚ますための「コネクター」としてどうあるべきか、というのを述べているように思える。

第3章「パワーコネクターになろう! 3ステップの人脈レシピ」
ここではコネクターとしての実践編である。「パワーコネクター」を目指して 様々なテクニックを下ごしらえ・調理・盛りつけとコネクター術を料理に喩えているところがなかなかおもしろかった。

「アイデアを出す人脈」とは専門や業種、価値観の異なった人たちと連結し、新たな発想や思考を生み出す「コネクター術」を指している。
戦後、目覚ましい成長によりものが豊かになり、質も飽和状態になりつつある今、新しい考え方や発想というのをどこの業界でも渇望しているのは事実なのかもしれない。
他業種とのつながりを増やしていきたいという表れで「人脈術」が数多く世に出回っている。
人脈を増やすのは私も賛成なのだが、他業種とのコラボレーションで新しいものやことをつくりだすとなると、難しさはあれど面白さもある。
「アイデアは人とともにやってくる」
それを本という形で表した一冊である。