「官僚は「悪」だ」という論者は少なくない。しかし各省庁にて基幹の役割を担う官僚がどのような存在なのかをしらないで批判するのはあまりにも滑稽である。
批判をするにしても、その逆に官僚がどのように働いているのかを知る必要がある。
本書はめくるめく官僚のあれこれについて著者自身の取材をもとに記している。
第一章「霞ヶ関エスタブリッシュメント」
エスタブリッシュメント(establishment)とは、
「社会的に確立した制度や体制。または、それを代表する支配階級・組織。」(goo辞書より)
である。霞ヶ関は官僚の世界であるが、現在の日本経済と同じくらい、もしくはそれ以上と呼ばれるほどの格差社会である。昇進競争やキャリア・ノンキャリアの差などさまざまである。
第二章「官僚たちの婚活事情」
「晩婚化」は官僚とて例外ではないという。
官僚の中には夜遅く、あるいは徹夜になるほどまで働く人もいる。そのためか恋愛事などうつつを抜かすことができず、気づけば30代・40代になったという人もいる。
友人をつてにしてつきあおうとしたり、結婚支援サービスや婚活に行く官僚も少なくない。
また霞ヶ関ならではの婚活事情として「見合いシステム」についても本章では言及している。
第三章「夫人外交」
官僚の中でも家柄などを重視した象徴として「外務省」があげられる。とりわけ外交の仕事として官僚本人だけではなく、その妻も社交場に華を持たせるために動くことも多い。首脳会談の夫人外交と同様に外務省の官僚にはそのような風潮がみられるという。
しかし長年官僚を取材しているためか、「夫人」にも変化をしているのだという。
第四章「官僚の妻たち」
妻が官僚の世界にコミットしているのは別に外務省ばかりではない。防衛省でも「美鳩会」という夫人会があるように「婦人会」と呼ばれる官僚夫人の会の世界がある。しかも官僚と同じように上下関係も激しく、かつその世界の中の窮屈さを描いている。
第五章「官舎という小宇宙」
公務員宿舎(官舎)は都内にあるアパート・マンションに比べて比較的安価であることからメディアの批判の的となることがある。しかしその官舎でもまた官僚やその夫人の中の世界と同じような所であるという。
官僚という世界には大きな「ムラ社会」という存在である。その「ムラ社会」の中には私たち庶民とかい離している所もあれば、全く同じような性格を持っていると言える。
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