ルポ 不法移民――アメリカ国境を越えた男たち

「移民」に関する話は4~5年ほど前からずっとあったのだが、その時はISILにより中東諸国が欧米を中心として大量の難民が移民申請をするような事態になったことが挙げられる。本書はその移民問題ではなく、アメリカにおいて長らくはびこっている「不法移民」を取り上げている。トランプ政権ではその「不法移民の強制生還」を政策の一つとして掲げられていたのだが、そもそも不法移民はなぜ移民をしたのか、そしてどのような生活を送ったのか、そのことを取り上げる必要がある。

第1章「住宅街の職場」
アメリカのカリフォルニア州北部にあるバークレー市内にあるハースト通りの住宅街を取り上げている。しかしその住宅街は閑静ではありながらも、不法移民たちの職場も存在している。その職場をピックアップしている。

第2章「日雇い労働の稼ぎ」
日本でも大阪市にあるあいりん地区(旧:釜ヶ崎)を中心とした地域が日雇い労働者が多くいる地域として有名であるのだが、アメリカにもハースト通りがそれに近い地域として有名であるという。その日雇い労働者たちはどのような仕事をしているのかを取り上げている。

第3章「切り離される家族」
「不法移民」であるが故に、法律の網をくぐりぬけて移民をしているため、死と隣り合わせのような状況で移民をする。もちろんそこには家族の姿はなく、離ればなれの中で出稼ぎをするようなこともあるという。

第4章「快楽と暴力」
ハースト通りは住宅街であるのだが、それと同時に「スラム」と言う言葉を用いるのも良いのかも知れない。その要因として公園での炊事を行ったり、売春婦がいたり、暴力沙汰が日常的に起こったりしているためである。

第5章「収監後の日常」
もちろん「不法」移民であるため、違反であるのだが、その違反の目をくぐり抜けるために移民をした方々は必死である。しかし警察などに捕まり強制送還される、あるいは収監されるようなことがある。

第6章「刑罰国家を生きる」
不法移民に対する規制や懲罰は強くなっている。その中で不法移民たちはどのように生きていくのか、国と労働者のせめぎ合いについて取り上げている。

本書は「ルポ」と銘打っているだけあり、アメリカにおける不法移民たちの実際を取材して表している。その中で私たちの知らない不法移民の実態がまざまと知ることができる。そのきっかけが本書と言える。

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