インカ帝国―大街道を行く

「インカ帝国」は1438年から1533年に存在した帝国であり、南アメリカ大陸における主に現在におけるコロンビア・チリ・アルゼンチンの3国に面していた。中世にわずか100年足らずの国家であるのだが、西欧とは全く異なる文明を誕生したことにより、歴史的な意義が強くある国としてもある。そのインカ帝国の中でできた文明が今もなお国々に残っているのだが、どのように残っているか、そのことについて本書にて取り上げている。

第一章「初期のインカ帝国とクスコの都」
インカ帝国ができあがった時の首都であるクスコはどのような街並みであったのか、そのことを取り上げているが、他にもインカ民族のあらましなども遺跡をもとに考察を行っている。

第二章「未知に包まれた黄金の東方圏」
インカ帝国の東部は山々に覆われており、季節によってはあたかも黄金のような岩肌を見せることがある。インカ帝国の東部は他の所に比べて高地であるが故に、解明されることが少なく「未知」と呼ばれる地域と言われていた。

第三章「山脈が連なる高地と海や砂漠の北方圏」
北方は東方とほとんど同じように山々が連なる山脈地帯であった。しかしながら北方は山脈だけでなく海や砂漠まで存在しており、ありとあらゆる地形が集中している所であり、なおかつ「聖所」と呼ばれるような所も数多く存在している。

第四章「西方圏の大アンデネスと漁の海」
西方は太平洋に面しており、漁も盛んに行われていたという。その漁にてどのような魚を獲り、食していったのか、そして漁の方法はどのようなものだったのかを取り上げている。

第五章「荒涼たる高原高地が広がる南方圏」
南方もまた高地もあるのだが、自然としてはまさに「荒涼」という言葉が相応しいとしており、なおかつ建造物もある。特に南方の場合は高原があるため羊などの放牧地としても知られていたのだという。

第六章「大街道カパック・ニャンとインカ」
帝国の城下町といわれている中の街道と、そしてその街道から見たインカ帝国はどのような存在であった野かを取り上げている。

インカ帝国は文明的な意味において南アメリカ大陸の歴史にて重要な要素が詰まっている。しかしながら地理的になぜ歴史的な意味があったのかは私自身もあまりよく分からなかった。そのわからなかった部分が本書にてよくわかった一冊と言える。