「医療的ケア」の必要な子どもたち―第二の人生を歩む元NHKアナウンサーの奮闘記

「医療的ケア」という言葉はメディアでも取り上げられているのだが、実際にどのようなケアなのか、実際に医療行為とケアとは似て非なるものであるのだが、その両者の違いとはいったい何なのか。元々NHKアナウンサーであったが、その実態を知り、退職し、こどもたちに医療的ケアの活動を行っている著者自らが綴った一冊である。

第1章「NHKから、もみじの家へ」
著者はNHKアナウンサーとして1986年に入局し、夕方のニュースや生活情報番組などを担当していた。そのなかで「クローズアップ現代」にて「医療的ケア」と出会い、厳しい現実に直面したことから、自分自身にできることと向き合い、2016年に退職という大きな決断を行い、「もみじの家」に移ることとなった。

第2章「医療的ケアの現実にせまる」
子どもたちが医療的ケアを求めている理由、それは様々なきっかけによって、満足に生きることができないことから、いかに脱していくかによる。その現実として認知されているにほど遠いこと、そして医療的ケアを必要としている子どもが年々増えてきていることが現実としてある。

第3章「福祉とは何か?」
日本には「児童福祉法」があり、法的な意味では整備されているように見える。しかし現実はそうではなく、「努力義務」であること、さらに時代に合わせた対策に沿っているのかどうかが疑問になってくる。

第4章「医療的ケア物語」
著者がもみじの家で働く前、クローズアップ現代にて取材を進めていたときの話である。その際に医療的ケアの現実とであるだけでなく、奇跡的な回復を見せたことによって触れたこと、そしてもみじの家にて働いた中でのエピソードなどを綴っている。

第5章「もみじの家を見てください」
著者が働く「もみじの家」とはどのような施設なのか、自ら施設案内と言ったことを行った章である。

第6章「僕のできることは?」
「医療的ケア」を求めるこどもたちに対して著者自身ができることとはいったい何なのか、クローズアップ現代の取材からずっと問い続けてきたのかもしれない。現実に直面しながらも、ケアを行い、子どもたちを1人でも多く満足に生活のできるようにすること、それが著者の「できること」なのかもしれない。

まだまだ認知されているにほど遠いとされる「医療的ケア」であるが、メディアでも取り上げ始めている。そのため、子どもたちが本当の意味で「満足に生きる」ために何をしたら良いのか、著者自身の人生を見て自分自身も考えさせられた一冊である。