架空論文投稿計画 あらゆる意味ででっちあげられた数章

SF

何というか、ある意味「ナンセンス」な一冊である。しかしながらその「ナンセンス」さが創作としての面白味を引き出たせている。

そもそも「論文」は論拠を見出して議論を構成していくため、架空であってはいけない。もっとも文献や仮説などをふんだんに盛り込まれるため事実から考えていくことが求められる。
そのため本書のような論文はあってはならないのだが、その「架空論文」を作るのであれば「こうだ」というのを物語にして取り上げているのだから面白い。

もっとも本書は小説であるのだが、「もしもこういうことを論文にしたらどうか」というある種の論文チックにしたエッセイがあっても良いかもしれない。日々あるものをあたかも論文に仕立てたいわゆる「空想論文」なるものが娯楽として世に出てきても良いでは無いかと本書を読んでそう思った。