ユーミン・陽水からみゆきまで ~時代を変えたフォーク・ニューミュージックのカリスマたち

当ブログではあまり元号の話はしなかったのだが、今月元号が変わり「令和」となった。令和はもともと「万葉集」に出てくる一説としてあるのだが、それに関するシリーズについてもし時間があればやってみたい。

私事はさておき、令和に入っておきながら、昭和~平成にて活躍した歌手たちを取り上げるのだが、もっとも2つの時代において大いなる影響を与えたと言っても過言ではない。フォーク、そしてニューミュージックと現代につなげる架け橋をつくった歌手を取り上げているのだが、本書の著者はその歌手たちのデビューに関わった人物でもある。

第一章「“新感覚派”ユーミンの謎」
荒井由実、後に松任谷由実は「ユーミン」という愛称でよく知られており、現在でもよく知られている曲も数多く存在する。もっとも彼女もフォークと呼ばれるジャンルであるのだが、「フォーク」という型にはめることができない、「新感覚」の歌を次々とつくりだしたという。

第二章「「反体制の英雄」岡林信康の挫折」
本書で取り上げられる歌手の中で、私自身が唯一知らなかった歌手が岡林信康である。岡林信康の歌を知るためには当時の時代背景を知る必要がある。時に1960年代、60年安保や大学紛争などが盛んに行われた、いわゆる「闘争の年代」と呼ばれていたほどである。その闘争の中で「反戦」や社会に対する怒りも含まれており、岡林信康はそのフォークソングに込めた。その社会に対する怒りをありのままぶつけ、そして生きる姿をぶつけてきたのだが、結局体制に勝てず、挫折した。

第三章「「若者の英雄」吉田拓郎のタブー破り」
フォークの世界には「英雄」がいたという。前章にて取り上げた岡林信康は「反体制の英雄」であり、本章にて取り上げる吉田拓郎は「若者の英雄」として祭り上げられた。その吉田拓郎の音楽は音楽におけるタブーと言うよりも、題材としてあげる際の「タブー」を破り、積極的に取り上げることにあったという。

第四章「「甘くせつない」井上陽水の罠」
独特な歌・声で有名な井上陽水であるが、その歌は切なさもある一方で、ノスタルジックな甘さもあった。代表曲の一つである「夢の中へ」もそのことを象徴づけている。

第五章「かぐや姫が見せた優しさ」
かぐや姫における「優しさ」というと「こわかった」と連想してしまう。それは「神田川」の歌詞の一節として出てくるためである。もちろん本章ではそのかぐや姫と神田川について取り上げている。

第六章「さだまさしが歌う無情」
今となっては日本を代表する歌手の一人であるさだまさしだが、デビュー当初は泣かず飛ばずだったという。しかしその状況から衝撃を与える歌を作り上げた。それが「精霊流し」であり、「無縁坂」であった。両曲ともこの世の無常がありありと示している。

第七章「アリス、それぞれの闘志」
谷村新司・堀内孝雄・矢沢透の3人のアリスはメンバー一人一人個性があったと言うほどであるのだが、アリスとしてのヒットするまではもがし苦しむことの連続であった。ようやくそこから脱却したのが「冬の稲妻」が出たときであるという。

第八章「松山千春が見せた「田舎者」の意地」
松山千春は北海道から生まれたスターと言われているのだが、大成した今もなお北海道在住である。そこには松山千春としての矜持があり、その矜持はデビュー前からずっと存在していたという。そのデビュー曲である「旅立ち」が出てくるまでのプロセスも何とも松山千春らしさが爆発していた。

第九章「「お坊っちゃん」だった小田和正の気迫」
小田和正は今でこそソロで有名であるが、かつては「オフコース」というバンドで活躍していた。もっともその「オフコース」というバンド名自体、小田和正が(エリート)コースから外れた道を歩んでいることを意味していたという。

第一〇章「「影」と言われた中島みゆきの真実」
日本における時代を歌い続けてきた中島みゆきはフォークの隆盛が終わり、ニューミュージックが出始めたちょうどその間にデビューした。第二章で取り上げた岡林信康は反戦や反発といったことが取り上げられるのだが、中島みゆきの反発は権威に対する反発もあった。祭典における反発のエピソードが本章にて克明に記されている。

フォークが隆盛した時代があった。その時代の中で今も記憶にも残る歌手が次々と生まれたことは確かである。しかしその生まれた背景には必ずと言ってもいいほど、当時の日本の社会背景が横たわっていた。本書にて紹介された10組の歌手のプロセスから見てもそう思わざるを得なかった。

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