科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで

「科学」と「神学」、相反するように見えて、実は時代によって密接に関わってきたところがある。その理由の一つに中世~近世までの科学はキリスト教の影響を強く受けており、特に有名なところでは本章でも取り上げているガリレオなどが異端審問の裁判にかけられるほどだった。しかし神と科学、そこにはどのような関係があったのか、著名な科学者たちの足跡をもとに取り上げている。

第1章「神とはなにか、聖書とはなにか」

科学者というと、神秘的なもの、宗教的なものを信じないと言うようなイメージが持たれる。しかしながら科学者は宗教を信じると言うよりも、神を信じつつ、宗教の根源の中にある科学を追求していると言った方が正しいかも知れない。

第2章「天動説と地動説 ――コペルニクスの神」

元々宇宙に関する議論は古代から行われていた。さらに言うと「地動説」と呼ばれる説自体もピタゴラスが定義づけられたことから始まっている。時代に応じて議論は変わり、アリストテレスが「天動説」を築くと、キリスト教は採用したのだが、その背景にはギリシャとローマの関わりが密接に関わってくる。その中に「キリスト教」も入ったことによる所が大きい。もっとも自然科学の歴史もその2国の関わりが発展について密接に関わっている。

第3章「宇宙は第二の聖書である ――ガリレオの神」

科学と宗教の関わりでもっとも印象づけたのがガリレオ・ガリレイの地動説である。地動説を唱えたことにより異端審問の裁判(通称:ガリレオ裁判)にかけられ、有罪判決を受けた。しかしガリレオ以前にコペルニクスが地動説を唱えたのだが、発表された時は罪は問われなかった(しかしガリレオ裁判以降、一時期閲覧禁止となった)。もう一つジョルダーノ・ブルーノも同様に地動説を唱えており、こちらは異端審問にて火あぶりの刑に処されている(ただ、理由は地動説と言うよりも、カトリックを痛烈に否定したことによる)。本章ではそのガリレオ裁判を中心に取り上げているのだが、その背景自体は「地動説」以前に別の要因があった。

第4章「すべては方程式に ――ニュートンの神」

ガリレオ以降もケプラーらがガリレオと異なる地動説を発表した。そしてようやく地動説の理論を完成させたのが、アイザック・ニュートンである。「万有引力の法則」と呼ばれる理論で、かねてから取り上げられた地動説の中で欠けているところを全て補完することに成功した。そのようなニュートンも晩年は聖書研究を行った。

第5章「光だけが絶対である ――アインシュタインの神」

相対性理論など多くの物理学面での功績を残したアルベルト・アインシュタインもまた、宇宙に関する議論を発表した。その議論に対してカトリック教会での見解がどうであったかを取り上げている。また他にもアインシュタインは神を信じていたのかという事について取り上げた対話についても言及している。

第6章「世界は一つに決まらない ――ボーア、ハイゼンベルク、ディラックらの神」

アインシュタインだけで無く、多くの科学者が物理的な理論を生み出しながらも、神に対していくらかの考えを持っていた。その考えとはいったい何かを取り上げているのが本章である。

第7章「「はじまり」なき宇宙を求めて ――ホーキングの神」

一昨年に逝去した物理学者のスティーヴン・ホーキングは特にブラックホールにおける特異点定理を発表し、世界的に有名になった。そのホーキングは無神論者であり、神に関しての言及はないのかというと、少ないながらも存在していた。本章ではその一部を取り上げている。

密接に関わってきた科学者もいれば、ここ最近では関わっていないにしても、少ないながら言及する科学者もいる。関わり方自体は時代と共に変わっていくこと、そして科学そのものが進歩していることにより、関わり方が変わってくると言った方が良いのかもしれない。