祝言島

2006年に起こった架空の事件。しかしその事件は謎が謎を呼び、さらには担当していた警察官が突然姿を消し「迷宮入り」の状況になった。そして12年後の2018年。主人公がとあるドキュメンタリー映画と出会うことになる。それが本書のタイトルにある「祝言島(しゅうげんじま)」である。

このタイトル自体がドキュメンタリー映画でありつつ、本書の全ての事件につながるものである。しかもその島に関連した事件も長きにわたって続いており、さらには本書に登場する人物たちもこの祝言島を巡っての因縁が存在する。

ミステリーではあるのだが、「三代」に渡るほどの「時」の部分にて長く、それでいて、「謎」が数多くあり、数多くある謎が複雑に入り交じるような一冊である。正直に言うと一読だけでは本書の核心にたどり着くのは至難の業で、二度三度と回を重ねて読むことによって本書の良さが見えてくる。そう言う意味ではここ最近一読でわかりやすい傾向とは異なり、何度も楽しめる点でありつつ、回を重ねるごとに奥が深い一冊である。