ビジネス読解力を伸ばす未来経済入門

株式会社オトバンク様より献本御礼。
2008年の10月にリーマン・ブラザーズの破たんにより、経済は世界的に後退していった。「経済」と言うと国単位での「経済政策」や様々な催しからの「経済効果」、家庭単位での小さいもので言えば「経済事情」と「経済」は様々な場で使われる。本書は国単位とったマクロな部分から経済を見ているのだが、様々な国の経済を垣間見ることができ、興味深く作られている。

第一部「時代の流れを把握する」
昨今の経済状況はと言うと、前述のような恐慌により資本主義の在り方が問われるようになり出したが、現在は回復をしているのか、恐慌が続いているのか混沌としている状況である。
それ以前にも日本は「失われた10年(「15年」と言う人もいる)」を経験しており、その中で銀行や証券会社の倒産による「金融危機」が97年前後に起こり、主要銀行が2000年前後に大合併し(「金融ビッグバン」)大きな変革を為してきた。経済的に「停滞」していたが、このことを見て行く限りは「混沌」化した、という記述が適当のように思える。
世界経済に広げてみると、「失われた10年」から脱却を果たして間もない時から「BRICs」の急速な経済成長が顕著に表れ、ニュースや経済誌でも話題となった。当時はロシアなどの新興国が豊富な資源エネルギーを武器に経済的な揺さぶりを駆けるのではないかという懸念もあった。しかし「100年に一度の恐慌」により、原油などの資源の需要は減少。資源の豊富な国もその煽りを受けた。煽りを受けたといえど、成長は日本のそれよりもはるかに凌駕し、お隣の中国ではGDPが世界第3位にまでなり、日本を抜くのも時間の問題とされている。
ここではこれまでの経済のあらましを事細かに把握させることが狙いで、第Ⅱ部以降では「これから」を読み取るにはどうしたらいいのかということを伝授している。

第二部「未来経済を読み解く」
資源や産業、福祉、外国との関係など取り上げているが、それがいったいどうなっていくのか、日本としてどう進むべきかを考える、そして読み解く所である。新聞や雑誌の記事から未来にかかわる記事を取り上げつつ、自らの意見も織り交ぜながらこれからどうなっていくのかを予測している。
私も書評やニュース(新聞・雑誌)をもとにして予測をすることはあるのだが、あくまで予測は予測であり、絶対こうなり得る保証はない。しかし、予測を立てるためにはあらかじめこうなるだろうという根拠となる情報、そしてニュースで試算されている予測から読み取ることは戦略を立てて行くにあたり、必要な要素と言える。

第三部「次代を構築する「創造力」」
読み取った上でこれからの時代日本経済はどうすべきなのか、企業単位としてどうあるべきで、それを達成するべくなすべきことを主張している。

日本の経済ははたして衰退していったのだろうか、そしてこれからGDP世界第2位の座を中国にとって代わられる時にどうあるべきなのか、どうするべきなのかの必要性を説いている。新聞記事などのニュースで一喜一憂している暇はない。そのニュースからどう読み取るのか、どこにチャンスが眠っているのかを記事から読み取り、力にしていくことがこれから必要になってくる。本書はそれを示しているのだと私は思う。