お金はサルを進化させたか ~良き人生のための日常経済学

株式会社オトバンク 上田様より献本御礼。
あなたにとって「お金」はどのような存在か。人によって「人生そのもの」「権威づけ」「ツール」と答えはそれぞれ異なる。お金との接し方についてもおそらくその哲学に通じるとも言える。

「お金」と言うと巷では「稼ぐ」本が乱舞しているのだが、本書の様に「使う」事を念頭に置いた本はなかなか観ない。しかもただ「節約をする」と言うわけではなく、「良き人生を送るために使う」「賢く使う」ことを念頭に置いた本はなかなかない。本書はファイナンス理論や行動経済学などの学問の観点から「お金の使い方」について定義している。

第一章「世界一の投資家はふつうの主婦と同じ判断をしている~価値と価格」
世界的な投資家を挙げてみると何人もいるのだが、中でも著名な人物としてウォーレン・バフェットが挙げられる。バフェットが投資をする判断として「価値」「価格」を念頭に置きつつキャッシュフローで判断を行うという。その感覚は「普通の主婦」が買い物をする際に決める判断基準と同じであるという。

第二章「不動産の知識がなくて3分で自宅の価値がわかる~価値とキャッシュフロー」
不動産の価値をどのように判断したら良いのか分からない方も多い。最も不動産の価値をどのように鑑定するのか専門資格としても存在しているほどである。しかし著者に言わせれば不動産の価値はすぐに計算できる「方法」が存在する事ができるという。本書ではその計算方法を紹介している。

第三章「年功序列はベテランではなく若手社員が望んでいる~時間の影響」
年功序列は古くから存在した日本の慣習であるのだが、バブル崩壊を機にそれは崩壊していった。しかし、ここ最近では私たちのような若者世代が「終身雇用」や「年功序列」を望む人が増えていったという。その一つの理由として不安定な時代だからでこそ、安定的な人生を送りたいと考えている側面を持っているためである。

第四章「あなたの財布には歪んだコインが入っている~確率の錯覚」
コインがどのようにして歪むのか気になるのだが、それはさておき、確率論には合理的に思えるのだが、もし投げるコインが歪んでいて、表しか出ない。しかし確率を信じ込んでいて「いつかは裏が出てくるだろう」という錯覚が起こってしまうという。本章はそれに似たケースについて宝くじなどを引き合いに出しながら取り上げられている。

第五章「損をするとわかっていても宝くじを買う理由~判断の癖」
前章と同じく宝くじを取り上げているが、以前どこかの本の書評で書いたのだが、確率には「期待値」と言うのがあり、その期待値について「競馬」「パチンコ」「宝くじ」を比較すると、一番低かったのが「宝くじ」だった。元々私も宝くじを買った時期があったのだが、そういた事実を知ったことを機にパッタリとやめたことは今でもはっきりと覚えている。しかしそういった宝くじでも、なぜ人気があるのか、そのことについて考察を行っている。

第六章「ラーメン屋とフランス料理店、どちらの価値が高いか~リスクとリターン」
この2つの店を比較すると、店によってピンキリはあるものの、かかる費用は大きく異なる。とはいえ本書では消費者の立場として両方を考察しているのでは無く、あくまで「店主」の立場に立って、諸経費と売上の相関関係を見て行っている。フランス料理店とラーメン屋は元々お客さんから取るお金も異なっており、そのことによってどれくらいのお客さんを呼び込む、いわゆる「回転率」も異なる。

第七章「アリとキリギリス、どちらが良き人生だったのか~寄り道の価値」
アリとキリギリスの物語であれば誰でも知っているもの、しかし本章では「労働」と言う観点から持ち出している。もっともこういった「アリとキリギリス」の話は投資のセミナーや本ではよく聞くのだがどのような違いかというと、アリはひたすら自分自身汗を流して働くもの、キリギリスは働かずに遊んでいるという物だが、最も投資の世界ではアリは自分で働きお金を貯め込むのだが、キリギリスはむしろお金に働かせる、いわゆる「投資」をする事によってお金を殖やしていると言う話である。そのため投資の世界における「アリとキリギリス」は物語とは結果が大きく異なる。

もっとも「お金」は稼ぐことも大切なのだが、それ以上に「どのように使うか」を学ぶ必要がある。お金の使い方によって自分自身の人生に与える影響は思った以上に大きく、使い方を誤ってしまうと身を滅ぼすきっかけに他ならない。それを防ぐために「お金の使い方」について、本書を通じて学ぶ必要がある。

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